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第5わん 夏休み突入

学生待望の夏休み一日目。

 今日は凛姉は朝からモデルのお仕事。白浜姉妹は東京の父親宅へ顔出しのため昨夜から母親のれんさんと連れ立って外出。このフリーダムな状況を使って趣味の釣りに出掛ける気満々だった僕は、早朝のリリーさんの散歩を終えると自転車に跨がって意気揚々と出発した。

 行き先は大垣市のお隣りにあたる養老町にある細池と呼ばれる釣り場。ちなみに、僕の趣味の一つである魚釣りは餌釣りも含まれるが、メインは疑似餌ルアーを使用して主に肉食魚フィッシュイータを狙うルアーフィッシングである。

 小魚を模したプラグと呼称されるハードルアーや、エビやザリガニを模したワームと呼称するソフトルアーを状況に応じて使い分けて魚と人間の騙し合いを繰り広げる戦いである。狩猟本能を刺激する自然相手の戦いは、千変万化する状況を自ら考えて釣果(答え)を出す楽しみがあり、非常に奥が深い。しかし、使用するハードルアーはブランド物だと、一個がお値段二千円近くしたりする物もあるため、それを失った時の精神&懐のダメージは地味に酷かったりもする。


 閑話休題。


 この日はいつもの流れ込み(田んぼの水が合流する箇所)で数匹のコバッチイ(20cm以下の小さなブラックバス)と雑魚ブルーギルをキャッチしたが昼前には、パッタリと魚信あたりが無くなったので、ゴールデンタイム(夕まずめ)まで養老の滝でも見にいって涼みつつ時間でも潰そうと考えて移動した。

 何度も訪れた事のある養老の滝への急勾配を、行けるとこまで根性で自転車で上がった後は、斜度が立ち漕ぎでも「もー無理」といった辛さになったところで自転車を降りて徒歩で滝まで上がっていく。ようやく着いた広場で柵まで近寄り、滝が生み出す涼しさを含む空気を火照った体にあてて一息ついた。

 しばらく涼みつつ景色を眺めた後、さて下るかと振り返ると中央で観光ツアーの人達と思われるカメラを持った集団がいるのが目に入った。この広場の中央には小さな石碑が建っている。ツアーガイドであろう制服を着た女性が石碑についての説明をしているのが耳に届いた。



「皆様。この石碑は正確な建立時期が明らかになっておらず、少なくとも五百年よりもさらに古くから存在していると推測されています。碑文の最後は一部が欠けており、文章内容からも何時、誰が、何のために残した物なのか様々な推論が出ていますが、こちらも明確な正確と思われる説は様々な分野の研究者からもでておりません。皆様も文章を読んで色々と想像をしてみるのも面白いと思われます」



 自身も何度も見た事のある石碑についての説明を耳にいれつつ、まだ時間があるがどうするかなどと思考しながら集団の横を通った。

坂を下っている時にふと閃いた。


「よし、久々に修行しよう!」


 唐突に何言ってるんだこいつと思われたかも知れないが、意味もなく身体を鍛えたくなるお年頃というのは、男の子なら誰もが通る道だと個人的に思っている。

 僕は過去にも何度か意味もなく (身体が鍛えられるという意味はあるが) 養老山の頂上まで駆け登っては、すぐに駆け下りるという自分的修行を思いつきでやっていた。

 この日もいつもの小さな登山道まで自転車を漕いで向かい、いつものように一人タイムアタックをしてから釣りに戻る・・・・・「はず」だった。






次回もなるべく早くお届けします。

読んで頂きありがとうございます。

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