第14わん 神様、拉致りました。
仕事前にギリギリあげ。
凛姉の暴走があったために、リリーさんが落ち着くまで少々時間を置いた後。
リビングではようやく改めて詳しい話しを聞ける体勢が整った。
「さて。リリーさんが神様だった件についての詳細を聞こうと思うんだけど・・・」
「びっくりしたわよね〜。 (モフモフ)元々可愛いリリーさんが (ナデナデ)文字通り神様級の可愛さになるんだもの。姉さん思わず我を忘れたわ (ギュッギュッ)」
現在の僕達は、テレビの前にある足の短い焦げ茶色の長方形をしたテーブルを挟んで配置されたソファーに座って、向かい合っている。
テレビに向かって左側のソファーには中央に僕。僕の背中にリリーさん。僕の左隣には嗄月。
僕と向かい合う右側のソファーの中央には凛姉。その膝上には、先程の会話途中にも弄られ続けていた絶賛拘束中の宥月。
「うん、ところで凛姉。宥月が赤くなって困った顔してるから解放して話さない?」
「やーよ。姉さんの膝上にジャストフィットなのよ。癒しなのよ。宥月ちゃんも嫌がってないもの。次は嗄月ちゃんの番なのよ」
さらっと次の生贄宣言したな。しかし、確かに嫌がってるわけじゃないから強制させにくいんだよね・・・凛姉も上位?のモフリストだからな。
凛姉の言葉に視線を宥月に向けると、
「はい・・・嫌ではありません。・・・むしろ、んっ・・・その、気持ちいいのですが、あの・・・」
赤面しつつ、突き放せない宥月の言葉を受けて僕は溜息一つ諦める。
「はぁ・・・。まぁ、話しが進まないからもうツッコミを入れるのは止めるよ」
「あらそう?そもそも背中にリリーさんをくっつけた状態の、今のいっちゃんが言ったところで説得力などないわよ。羨ましい」
うぐ。
まぁ、緊張感に欠ける状態なのは確かにお互い様ではあるんだが、これでも背中に感じる二つの暴力的な柔らかさを持つ膨らみから意識を逸らすのに思春期男子は大変なんですよ。
いや、ホントに。
「じゃあ話しを本筋に戻すとして、リリーさんには宥月と嗄月の紹介からした方がいいのかな?」
「それには及ばん。姉様への説明をわらわも聞いておったから事情は把握しとるよ」
僕の肩の上に顎を乗せて、外からでも余裕で聞こえていたとのリリーさんの発言。
この位置は僕が顔を横に向けるだけでキスしかねない危険な態勢だと気付くが、とりあえずはスルーする。
「そっか。それで、リリーさんが僕に加護を与えてたって事で合っているんだよね?」
「その通りじゃ。姉様にも掛かっておるから、仮に姉様が精霊殿とやらに辿り着いたなら同様に入れたじゃろうよ」
「成る程。にしても僕は加護が掛かってるなんて全然気付かなかったんだけど、具体的にはどんな効果があるの?」
「そうじゃのう・・・姉様のは単純に健康に害を及ぼしにくくなる系のじゃが、糸のは毛色が違ってのう。糸は自覚しとらんじゃろうが、実は糸はいろんなモノに好かれやすい性質でのう。魔除けとその性質を抑える類いの加護を掛けとったんじゃよ」
なんか初めて知る事実が混ざってるんですけど・・・、え?そんな性質なの?僕が?
「リリーさん。それは隣の悪い虫に懐かれてるのに関係したりするのかしら?」
「いや姉様。それは天然じゃのう」
凛姉とリリーさんがよくわからないやりとりをしている。いや、白浜姉妹は人間だから今の話しと関係ないでしょう?
「まぁ、そちらの話しはまた今後詳しく説明する機会もあろうが、今の糸はどうしてわらわの様な神がここにおるのかが知りたいのじゃろう?」
リリーさんが、目下一番気になる事に触れたので頷く僕。
「まぁ、目茶苦茶簡単にまとめるとじゃな・・・わらわが幼い頃にシベリアで母様に拉致されたという感じじゃな」
我が家へ来た経緯をダイナミックにまとめるリリーさん。
母さんが拉致という言葉でなんかいろいろと想像がついてしまう、家族のツーカーっぷりが非常に憎いところではある。
凛姉は普通に納得しました的にウンウンと頷いてるし。
「主様も凛様も納得しました感がでてるの。主様の母上様は日常的にそういった行動をされてるの?」
拉致などという単語が出ているのにも関わらず、余り驚いたりする事なく、むしろ納得顔の姉弟の反応を不思議に感じている嗄月が疑問の声をあげる。
「あー、そうだよね。そう思われても仕方ない反応してるよね。でも誠に遺憾ながら家の母さんを知っている人間からするとそんな行動が用意に想像できてしまう悲しさがあるという・・・まぁ、拉致というのは言葉の綾なんだけど」
苦笑しつつ答えを返す僕に隣の嗄月と凛姉の膝上の宥月が頭に?マークを浮かべている。
そんな二人を見て僕は、現在家を離れている両親の話しが必要だなと、リリーさんを背中にくっつけたままどうやって説明したものか思案するのだった。
読んでいただきありがとうございます。
なるべく週2で進めれるよう頑張ります。
次回は水曜頃を予定してます。




