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第11わん 帰り道

個人的祝!1000PV到達!ありがとうございます。次は一万目指して頑張ります。

前の後書きのタイトル内容はこの次にズレこみます(汗)


 前回までのあらすじ。迷子になった山の中で出会った獣耳幼女精霊と契約したら、っぺにチューされました・・・要約すると果てしなく犯罪臭いのは何故だろう?

 とまれ、冗談は置いといて。精霊殿(せいれいでん)を出た僕達は、宥月(ゆうづき)嗄月(さつき)の案内で霧を抜け、山中をしばらく進んでふもとに続くという小さな獣道に出た。


「この場所に出るんだ・・・」


 そこは、当初の修行コースの終着地点(さんちょう)手前にある、乗用車一台分くらいの平坦になっているスペースだった。


「主様はこの道をご存知で?」


 青い巫女服姿の宥月がくるりと振り返りながら問うてきた。左右にフリフリと動く尻尾が絶対不変の癒しの空気(オーラ)を放っている。


「うん。元々はこの登山道を登ってたんだ。下に自転車と釣り具(タックル)が置いたままだったからちょうどよかった」


「自転車とタックル・・・です?どんなものなの?」


 橙色の巫女服姿の嗄月が小首を傾げて問うてくる。獣耳が「わたし、気になります」と某古典部部員ばりに興味津々といった体でピコピコと動いている。


「あ〜、自転車は人力で走る乗り物・・・と考えてもらえればいいかな。タックルっていうのは釣り具を外国の言葉で表したものだよ。・・・・・・そういえば前回眠りについてからどれぐらい経ってるのかってわかったりする?」


「そうですね・・・感覚的なものになりますけれど・・・・・・大体二百年くらいでしょうか?」


「多分それくらいで合ってると思うの。いつもより随分と長い間眠ってた感覚なの」


 二百年前っていうと、江戸時代だっけ?これは現代一般常識を最初に教えて置かないと後々に色々と大変な事になりそうだな・・・。あ、乙女の年齢については深く考えませんよ。えぇ、考えてませんともよ。などと心中で独り言を呟く僕。


「そっか。じゃあ沢山見たことや聞いたことのない物が溢れてると思うから、家に着いたらさらに詳しく色々と教えるね」


 麓までの道を、軽く現代についての雑談をしつつ三人で下りていく。

 掘っ建て小屋まで辿り着いた時には、夕焼けだった空が夜の帳が下りる直前の夕闇へと変わっていた。


「さてと、自転車で帰るわけだけど二人乗りはまだしも三人乗りはなぁ・・・前と後ろで・・・・・・いやいや無理だな」


 前面に白い幼女、背面に黒い幼女 (両方とも巫女服姿)をぶら下げてとか、見た目のやばさ以前に物理的に漕げないこと請け合いだしなぁ。ある意味幸せサンドイッチだが・・・。


「人型での移動が大変な様でしたら、わたくしたちは一旦依代(よりしろ)の方に戻りましょうか?」


 移動方法について顎に手をやり悩んでいると、宥月が言う。何やら気になる台詞(せりふ)があったんだけど?


「依代に戻るっていうのは、どういうことかな?」


「はい。わたくしたちと契約した際に主様に身につけて頂いた、その首飾りについている白と黒の勾玉(まがたま)が依代になっております。そして、人型での顕現(けんげん)を解きますと、その中で待機する事が可能なのです」


「そんなことができるんだ!・・・それじゃあ、お願いできる?」


「「はい (なの)」」


 返事の後に二人の体が淡く光り輝いたと思うと、光の粒子が昇り、その場から消えていった。完全に消えると同時に、二つの勾玉が軽く明滅する。


 実は契約した直後に、首元に光とともに現れた首飾りについて説明されていたのだが、平静を装いつつも内心では頬っぺにチューに動揺してたので、聞こえていなかった糸であった。


 その後、依代に戻った状態でも糸の頭に直接言葉を送る念話が可能だったため、自転車で帰宅する途中で目にする初めて見る車や凄まじく様変わりした建築物等に、宥月と嗄月が驚いてあれこれ質問を送ってくるのに和気藹々と答えながら自宅へと帰り着いたのだった。




 僕が自転車から降りて、玄関へと向かう途中。


((これは・・・・・・))


 と、二人の声が届いたので立ち止まり、どうかしたのか聞いてみるも「いえ・・・気のせいみたいです」と返ってきたので深くは追求せずに改めて歩みを再開する。


「リリーさんただいま〜」


 玄関横の柵に近づいて呼びかけると、いつもは自転車から降りた時点で柵前に尻尾をフリフリしつつお座り(スタンバ)っているリリーさんが、何故か犬小屋(ハウス)の入口から顔だけをだしてこちらをじいっと伺っていた。


「リリーさん?どうかした?」


 名前を呼んでもこちらに近づいてこないリリーさんを見て、過去にこんなことは一度もなかった記憶から僕は、内心驚きつつ首を傾げていた。

 まさか宥月と嗄月の気配みたいなものを感じて警戒してるとか?動物は人間より第六感みたいなのが優れてるっていうしなぁ・・・・。まぁ、紹介は後でも大丈夫かなと思いつつ「じゃあまた後でね」と声を掛けて僕は家に入った。



 ジッと糸を見ていたリリー。正確には糸の胸元(・・)に視線を注いでいたリリーは、糸の姿が家に入るのを見送ると犬小屋(ハウス)の中に顔を素早く引っ込めて、沈黙した・・・・・・。





読んで頂きありがとうございます。次回は日曜か月曜にはあげる予定です。今度こそ神様登場・・・のはず。


※2月17日=誤字修正、一部改筆しました。

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