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ゆきのおうとふゆのあしあと

作者: 二十日子

まっしろくて つめたくて からだがひえて


さびしくて


あしあとつけたの だあれ?



なつはきらい しゃかしゃかみんなさわいで あつくるしいもの


しろくておおきなゆきのおう かちかちのまゆをあげさげしてる


あきはきらい はっぱもくさもいろをつけて めがちかちかするもの 


ゆきのおうはしろいじゅうたんのようなゆきにねころがる


かれくさのはらも いまはゆきのした


ふゆはだいすき さらさらのゆき すきとおったつらら こおるみず


みんなだいすき


ゆきのおうは ゆきだまをつくってなげる


ゆきをかぶったきにあてて とまっていたとりをおどろかす


ちちち ひどいよ とりはゆきのおうにおこってもんくをつける


ゆきのおうはまたゆきだまをなげつけた


ちちち ちちち とりはないてとびさってしまう


ゆきのおうはからからとわらいました


しんしん しんしん ゆきがふる


ゆきのおうはふりつもったゆきもすきでしたが そらからふるちいさなゆきのかけらもすきでした


そっとしろいてでゆきのかけらをとじこめて かたちをみるのです


ゆきのかけらはとてもちっぽけなのに うつくしいすがたをしていました


ゆきのおうはそれをみてにっこりわらうのです


そうやってながいあいだ ゆきのおうはたのしくすごしていたのでした


だけどそれはあるひ おわってしまいます


とりがなきました


はるがくるよ はるがくるよ


ゆきのおうはとりがきらいでした いちばんにしらせをもってくるのがとりでした


ゆきのおうがゆきだまをなげつけます


とりはちょっとおどろいてなきやみましたが それもすぐに はるがくるよ はるがくるよ となきはじめるのでした


そうするとにわかにまわりがさわがしくなっていきます


しかがめをふきだすわかばをみつけ あなにとじこもっていたくまがねぼけまなこでそとにでてくるのです


しろかったゆきが ひのひかりで すきとおったみずにかわりました


ゆきのおうは はるがだいきらいでした


ゆきのおうのだいすきなものを すべてうばっていくのです


はるだ はるだ うれしいな 


ゆきのおうはかなしくてなきました 


ゆきのおうのなみだはあったかくて ふりつもったゆきをとかしてしまいます


それをみるとゆきのおうはよけいにかなしくなってしまいました


するとゆきのおうのからだがとけはじめます


ゆきのおうのからだは あたたかいものがにがてなのです


そんなゆきのおうやとけたゆきを やわらかいつちのじめんがうけとめます


なかないで なかないで そういってそっとなみだやとけたゆきをうけとめるのです


おやすみなさい ゆきのおう 


ゆきのふとんをかぶっていたつちは たいようのしたでとけだすゆきをうけとめていきます


わんわんなくゆきのおうのからだも どんどんちいさくなってとけていきました


つちのベッドはきやくさも なにもかもをうけとめます


はるも なつも あきも ふゆも かわらずすべてをうけとめます


つちのじめんはしっているのです


はるにめぶく はなばなのすばらしさを


なつにいきづく くさきのあおあおしさを


あきにいろづく うれたみのいとしさを


そして ふゆにつもるゆきのたっとさを 


ながいふゆのあいだにねむっていたものが めをさましていくのです


ゆきがつめたいみずにかわって めをさましてくれるのです


ゆきどけみずがじめんにしみこんで のどがからからにならないようにしてくれるのです


ゆきも ふゆのおうも またふゆになればでてきてくれます


だから そっとおやすみなさいといって ふゆのおとずれをまつのです


ゆきうさぎがゆきのうえにあしあとをつけます ゆきのじめんがとちゅうでとぎれて くろいじめんにかわりました


しめったつちにあしあとがつきます


うれしいな うれしいな うさぎはよろこびました


そうやってあしあとをのこしながら はるやなつにとびこんでいくのです


そしてふゆがくればまたまっしろなあしあとをつけることでしょう


ふゆのおうはとてもさみしがりやですから あしあとをつけておしえてあげるのです 


ここにいるよ あそびにきたよと





 



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