猫の本領は夜遊びなの
レディはザザが寝ると、そろっと起きだした。
尾が根本から二股に別れ、ついでさらに2本、どう見ても猫ではないふさふさのきつね色の尾が生えた。
4尾。
てんでばらばらに動く尾を一度、『めっ』という感じに前脚で叩き、ひょいっと天井に抜けていく。
屋根上までくると、赤いチョッキのオス黒鼠と赤いリボンのメス黒鼠がいた。
「名前まだ呼んでないのに、M・Mたち早いねぇ」
と、レディは言った。
鼠は大きなノートを開いた。
『ご用件は?』
と書かれている。
「明後日、いやもう日付が替わったから明日、か。連れが森に入るからね。よろしく頼むよ」
『承った』
「私もゆくから」
『異界より来た化け猫殿』
『も』
『くる』
『承った』
何枚かページを捲って、対応する単語のところを開いて、文章にする。
「うっかり戦争になったら嫌だからねぇ」
『四天王筆頭より依頼があります。詳細は当人から聞いて下さい』
この一文、よく使うのだろう。ページの端がよれている。
「ここに間借りしている身だ。多少の手伝いはするよ」
『ありがとう』
『伝えます』
と、会話をしている間、レディはリボンの方を引き寄せて、毛繕いしてやっていた。
生まれたての仔猫ぐらいのサイズ。
溢れる母性が、なんだか、世話したい気持ちにさせてくる。
『そろそろ』
『解放して下さい』
「うぐうぐ、ではまたね、ミスター・マイケル。ミス・マリー」
マリーがレディの足から這い出して、マイケルと並んだ。
『森で会いましょう』
しばらく月を見ながら夜のお散歩を楽しんだ。雄猫に誘われたが、尻尾でびしっと顔を叩いて、お断りした。普通のメス猫なら尻尾で顔を叩いたらお誘いだが、4本でべちべちやれば、拒否である。
そうして優雅に遊んだ後、ザザの部屋に戻って尻尾を隠し、布団に静かに乗って、ザザの上で遠慮無く丸くなった。




