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気を取り直して、蛇を探すのにゃん

通貨の説明


 1テツ(鉄貨)50円ぐらい


 1ドウ(銅貨)500円ぐらい。


 1ギン(銀貨)5000円ぐらい。


 1キン(金貨)5万円ぐらい




魔鳩ステーキのコース料理は3ギンだから、15000円ぐらい。


 定食は500円ぐらい



 その後、近くの木の上で、心細そうに鳴くレディをザザが回収し、ことは終わった。

 シュナイダーが肉を貪り、魔王とリチャードが合奏と歌の一芸を見て、去っていった。

 起き抜けからだいぶ経ったので、歌った。

 みんなで。

 それを見たレディも、なんで? という顔をしながら、うにゃにゃにゃにゃあーと合わせた。付き合いが良い淑女なのである。

「Sに干し肉大丈夫かな。塩分濃いですよ」

 と、ポーター。

「あれ、犬の姿の化け物だからね。あんまり出ないから、こんな浅いところに来てて、びっくりした。レディ? 何してるの?」

 レディは隅っこで、M・メスを押さえ込んで、毛繕いしていた。

 なんだか、今、ものすごく母性本能が高ぶっていたところに、丁度良い大きさの伝令が来たから。

「ちょっと、レディ。駄目だよ、お腹壊すから、生肉は食べないよ、ぺっして」

 ザザは慌てて、ミス・マリーを取り上げ、逃がした。

 良いことをしたはずなのに、ミス・マリーとその仲間達が「きぃーっ」と文句を言った。

「助けたじゃないか、俺は」

 お腹壊す肉、と馬鹿にされたのが腹が立つらしい。


 まあ、そんなばたばたしていたら。


 夜明けである。


「今日と明日、半日分ずつ移動して、拠点はそこにして、休もう」

 と、リーダーのケントが予定を変えた。

 どんつきから二日分の距離に行く予定だったが、寝不足でふらふら森の奥にはいるのはよくない。

 そこで蛇が獲れないなら、さらに奥に行けばいい。予備日はそのためのものだ。

「賛成」



 その後、たびたび、肉を貪りにSが、ちょこまかとM・Mが跋扈したが、改めた予定通りの場所に、予定時刻に到着した。

 2泊3日目。

 このあたりになると、昼でも鬱蒼と暗い。

 空を見上げると、たぶん枝葉で覆われているのだろうが、光がほぼ透けてこない。木漏れ日などという優しい存在はみかけない。

 故に、暗い森なのだ。

「これ、枯れ木だから、切って良い。あ、株も綺麗に抜いて。こっちの木も切ろう。そうして、周囲の枝を刈って、太陽の光が入るようにするよ」

 と、ザザ。

 ポーターとケントは設営があるので、猫を任されて預かりながら、シートを敷いたり、火を焚く竈っぽいものを作った。

 簡易炉は便利だが、魔石の消耗が激しい。

 木が切り倒され、ばさばさと枝が落とされる。

 だいぶ明るい。

 昼だったな、とわかる。

「この若木は防虫剤の原料だから、枝葉をとりあえず火にくべて。ここら辺は、蛇もいるけど、ムカデなんかもいるから」

 ザザは案内人の仕事をし始めた。

 生木なので煙りがかなり出る。香りは、皆が衣替えで出したばかりの服で嗅いだりする香りで、みんな「ああ」と実感した。

「枯れ木は普通に薪に」

 森なので、長剣のかわりに鉈を持っている者もおり、枝打ちを買って出る。

 ザザは周辺の蔦や枝を刈り取って拠点環境を整えていった。

 ポーターは昼食準備にかかる。

 ケントはトイレと壁を設置した。

 レディはミス・マリーを捕まえて、毛繕いしていた。

 昼ご飯は代わり映えしない。

 ただ、マリーがザザからナッツを貰い、帰っていく。

「イニシャルネームドがこうやってきてくれると、野犬なんかが出なくて良いんだけれど。なんか今回、やたら絡んでくるな。レディが魅力的だからですかね」

 と、ザザは愛猫にほおずりし、首輪の魔石を確認した。ダニよけ、ノミよけ、蚊よけ、の魔法かかかっている。お高い首輪である。トマに作らせた。

「明るい内に、罠の設置を。明日の朝、確認する」

 蛇罠は、穴の開いた笊蓋に、陶器の皿のような底のもの。

 穴から落ちると、陶器が滑るので、なかなか出られない。

 いろんな罠があるが、これが一番、楽で扱いやすい。あと、回収しやすい。

 土の上に置くので、底が紙や木製だと、黴びたりする。

「防虫剤のせいで、蛇もこないから、風下は駄目だよ」

 手分けして罠を置き、目印の旗を立てる。

 罠の数は28個。




 猫とは、蛇が嫌いで、キュウリなどの長いものが墜ちていても、びくっとしたりする、こともある。

 が、太古より生き、野性味に溢れているレディは、そもそも毒蛇に噛まれても死なないので、蛇などおもちゃである。


「レディ? また、M・M来たの?」

 と、優しくザザが覗き込んだ。

 フーフー唸り、タシタシッと手で叩きながら、レディは蛇と遊んでいた。

 蛇はうねうねしながら、逃れようと頑張っていた。

 ザザは蛇の頭近くを掴んでレディから奪い、

「ケント、一匹捕獲したよ」

 と、蛇用の麻袋に入れた。

 そして、目的は一応、達せられたのだった。

 蛇を奪われたレディは、魔山羊のミルクを貰えたので、そのことは忘れた。些末なことを覚えないのは、長生きのコツである。


 蛇は、白に、腹と背の境にグレーのラインが入っており、目は金ないし薄い茶色である。

 通称は薬蛇、錬金術協会の正式名称は、灰色線白蛇森林水源型、という。長いから薬蛇である。

 似た薬効の亜種が砂漠や乾いた山岳地帯もいるため、区分されている。

 毒も一応あるが、成人男性なら、あまり効かない。子供は熱を出したりする。

 翌朝、薬蛇は、罠28のうち、7つにかかり、2匹がサイズも重さも足りなかった仔・若個体だったので逃がした。

 薬屋は小さすぎるのを売りに行くと嫌な顔をするのだ。薬にする部位も少ない、仔蛇をわざわざ殺してもってくる奴が嫌いなのである。

 殺さずに、麻袋に一匹ずつ入れて、潰さないように、生命を入れられる時間緩和魔法のあるリュックに入れていく。

「あとは、適当に稼ごう」

 拠点、2日目の夕方。森に入って4日目になる。

 水源型、と正式名称にある通り、湖に近い方がもっと出そうだが、ケントとしては娘のための薬が手に入れば良く、また娘だけがその便利な薬が手に入って他の妊婦やその家族に恨まれないよう、さらに何服か作れるだけの材料があればよい。だから、十分だった。

 一応、撤収予定日までは毎昼に罠を仕掛け、朝に回収することにした。

 拠点にいるのは、予定では4日間。片道で、『どんつき』に1泊、拠点まで来るのに2泊となるはずだった。だが、『どんつき』でいろいろあって、二泊でここまできたが、帰りは1泊でいける距離になったので、5日間、留まることにした。



 最終的には魔猪を一頭狩り、これで20キン(100万ネカ。牙1本で5キンはいく。骨も皮も肉も高い)で、蛇21匹(1匹1ギン前後、計ざっと10万ネカ)、防虫用木材、薬草、茸、魔鳩3羽の羽根や骨(肉は食べた)、兎四羽(毛皮のみ、肉は食った)なども含み。

 仲間内格安日当1万ネカ(2ギン)計60万ネカ、準備金ポーター以外2万ネカ、ポーターには5万ネカを事前に別途として出していたので。(ケント当人分は除いても、75万ネカだ。森に入る入場料、何度かの打ち合わせの茶・菓子代、なんやかやと用意したもの(罠とか)は入っていない)

 ケント以外の仲間達が「赤字は出ただろうが、その分は出産祝い金で補填しよう。仲間内4人で割ればその範疇っぽい」と、安堵した。まあ、ザザとポーターも、一口噛みますよと、受けたので、6人で割れる。クライアントが仲間だし、ご祝儀の意味もあって参加している。ポーターも遊んで(仕事なしで)いるよりは、というのもあって参加した。料金は安いが、中日は移動なしなので楽だし、暗い森で必要物資の調達もできたのと、ザザが定食用の券、ご家族でと12枚くれたので、金よりもいろんなものが充実したし、夕食後、便利道具やその手入れの仕方、裏技的な技術、食べられる茸などの情報を貰えたので、満足だった。

 後日、あつまって、収穫品を各自のツテで販売したのを持ち寄った結果。

 本来の報酬に、プラス2ギン増えた。

 ザザでもわからないキノコが出たので、領主の管理する博物館に持っていったら、完全な標本はこれが初めてだったらしく、2キンで買取りしてくれた。

「赤字にならなかったよ。よかった。ありがとう」

 そして、ケントの家で焼き肉が振る舞われ、レディにも。

「最初に蛇を見つけてくれたから、特別報酬で」

 と、ただ湯がいた魔猪の肉が皿により分けられていた。ついでに、持ち帰り分、1㎏。ペットの犬猫に、味付けした食べ物は与えられない。

 魔の付く動物の肉は滋養が高く、ありがたい。

「これ、赤字にならない?」

 ザザが心配した。

「持ち込み肉の一部だから、原価だよ」

 うにゃうっとレディは喜んでお肉を食べた。

 肉汁が逃げないように焼いてから茹でてあるので、大変美味しい。

 食べ終わると、お愛想でケントの膝の上でゴロゴロ喉を鳴らして甘えて見せた。



 こうしてプチ遠征は幕を閉じたのだった。

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