第37章 江戸時代にタイムスリップ 江戸時代の大人気レシピ
【シーン:宿屋の厨房を借りて】
フィビアス(腕まくりをして)
「フローレン様がどうしても食べてみたいと言うので、宿のキッチンを借りました。江戸時代の節約レシピ『八杯豆腐』を作ります。」
シュペルク(興味津々で覗き込む)
「八杯豆腐? なんだそれ。豆腐を8杯も食べる大食いチャレンジメニューか?」
フローレン(魔導書を片手に)
「違うよシュペルク。名前の由来はね、出汁の配合比率なんだって。これ、まるで魔法の調合みたいで面白いよ。」
フィビアス
「ええ。当時の料理本『豆腐百珍』にも載っている黄金比です。
『水6杯、醤油1杯、酒1杯』。これを合わせて合計8杯になるから『八杯豆腐』。覚えやすくて、誰が作っても失敗しないのが人気の秘密だったそうです。」
シュペルク
「へぇ、6対1対1か。シンプルだな。でも豆腐だけで腹一杯になるのか?」
フローレン
「具材には大根おろしを入れるのが定番みたいだね。豆腐は細長く切って、麺みたいにして食べることもあったらしいよ。……あ、フィビアス、片栗粉でとろみをつけるのを忘れないで。」
フィビアス(手際よく調理しながら)
「わかっています。とろみをつければ冷めにくいですし、少ない量でも満足感が出ますからね。……はい、できました。どうぞ。」
(全員で実食)
シュペルク(一口食べて)
「ん! うめぇ! 出汁が染みてて、優しい味だけどご飯が進むな。これなら毎日でもいけるかも。」
フローレン(ほくほく顔)
「ん、美味しい。江戸時代の人がこれにハマった理由がわかる気がする。……ちなみにね、当時の『おかず番付』っていうランキング表があるんだけど。」
シュペルク
「番付? 相撲みたいなやつ?」
フローレン
「そう。江戸の人たちは何でもランキングにするのが好きだったんだよ。その『日々徳用倹約料理角力取組(ひびとくようけんやくりょうりすもうとりくみ)』っていう番付で、この八杯豆腐はなんと**『大関』**クラスだったの。」
フィビアス
「当時は『横綱』という位がまだ特別扱いだったので、実質的な一位が大関ですね。つまり、八杯豆腐は庶民や武士にとっての『キング・オブ・おかず』だったわけです。」
シュペルク
「へー! 豆腐がトップかよ。肉とか魚は?」
フローレン
「魚の『めざし』とか『塩鮭』もランクインしてるけど、やっぱり豆腐料理が圧倒的に多かったみたい。安いし、アレンジが効くからね。『きんぴらごぼう』や『煮豆』も上位だよ。質素だけど、栄養バランスは意外と考えられてるよね。」
フィビアス
「私たちも旅の保存食ばかりではなく、こういう知恵を取り入れるべきです。……聞いてますか、フローレン様。明日からは魔導書を買うお金を減らして、大根と豆腐を買いますよ。」
フローレン
「えー。……でもまあ、この八杯豆腐が食べられるなら、たまにはいいかな。」
シュペルク
「俺、肉も入れたいけど……怒られそうだから黙っとこ。」
フィビアス
「シュペルク様。心の声が漏れています。(ため息)」




