江戸時代にタイムスリップ 江戸の大名と参勤交代
――旅の途中。夕暮れの街道を歩くフローレン、フィビアス、シュペルク。
休憩の合間、ふとフィビアスが話を切り出した。
フィビアス「フローレン様。江戸時代って、大名がどんな生活をしていたか知っていますか?」
シュペルク「大名って……なんか城に住んで、好き放題やってた偉い人ってイメージだな。飯も豪華で、遊んで暮らしてる感じ?」
フローレン「……それは、かなり表面的な印象ね。実際には“大名”は将軍直属の家臣で、参勤交代や幕府の公務に縛られていたの」
シュペルク「え?参勤交代って……あの、行ったり来たりするやつ?」
フィビアス「そうです。一年ごとに江戸と領国を往復しなければならない決まりでした。だから大名の家族は江戸で暮らして、人質みたいに置かれていたんですよ」
シュペルク「人質!? 大名なのに?」
フローレン「将軍の力を保つための制度よ。江戸城での儀式や将軍への拝謁は“大名の仕事”で、一年に三十回くらいは必ず登城した。無断で休めば処罰。体調不良なら事前に届け出を出すほど徹底していた」
フィビアス「つまり、大名は領地の殿様というより、江戸で“監視されながら働く官僚”に近いですね」
シュペルク「なるほどなあ……なんか思ってたより窮屈だ」
フローレン「大名の一日は起床時間も、食事の内容も、寝る時間まできっちり決まっていたわ。自由気ままに暮らす余地なんて、ほとんどなかったの」
シュペルク「……じゃあ“偉いけど不自由”ってやつか。なんか、ちょっと同情するな」
フィビアス「そうですね。格式ばった生活の裏には、精神的な負担も多かったと思います」
フローレンは空を仰いで小さく笑った。
フローレン「……長い時代、人は権威や制度に縛られながら生きてきた。魔王を倒しても、そういう仕組みまでは消えないのよ」
こうして三人は、江戸の大名の「窮屈な日常」を語り合いながら、夜の宿場町へと歩を進めた。




