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江戸時代にタイムスリップ 「午前の手仕事」


井戸端。女将たちが桶に着物を広げ、足で踏み洗いをする。冷たい水の飛沫と、明るい世間話が交じり合う。


シュペルク「えっ、着物って丸ごと水に突っ込むの?」


フィビアス「一枚布の単衣ならそのまま。合わせや綿入れは縫い目をほどいて洗い張りです。石鹸はないので、米のとぎ汁を利用」


フローレン「時間はかかるけど、寿命が伸びる。物を繕うのは、命を延ばすのと同じだよ」


干し場では、縫い目を解かれた布が陽に透けて揺れる。裁縫箱からは針山、糸、豆バサミ。擦り切れた袖口は継ぎ当てで補修される。


シュペルク「……なるほど。直すのが当たり前だから、針仕事が必須なんだな」


フィビアス「だから裁縫道具は嫁入り道具のひとつ。家を守る力の象徴でもありました」


フローレン「糸で結ぶのは物だけじゃない。人の縁も同じ」


昼前、表通りの小店に向かう。間口二間の店には、米・魚・古着・炭薪が並び、人々の声でごった返す。


シュペルク「うわー! 魚も家具も雑貨も……なんでもあるんだな!」


フィビアス「江戸全体で一万三千軒以上の店。突出して多いのは搗米屋と炭薪仲買。日々の暮らしを回す基盤です」


フローレン「あ、蕎麦屋台の匂い……午後に食べよう」


シュペルク「やった!」


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