江戸時代にタイムスリップ 「夜:寄席と就寝――江戸の夜の楽しみと眠り」
(夕食が終わった頃、町内に太鼓の響き渡る。)
シュペルク「あ!あの音、なんだ?お祭りみたいだけど」
フィビアス「寄席の開演を知らせる合図です。夜席は午後六時から十時頃まで。庶民が楽しみにしていた娯楽でした」
フローレン「“寄席”って、人が寄る席のこと。落語、講談、手品、浄瑠璃、曲芸……。いわば“総合エンタメ”ですね」
シュペルク「おぉ! 行こう行こう! こんなに大好き!」
(寄席小屋。灯りに照らされた板の舞台。客席は長屋の職人や商家の奉公人でいっぱいだ。)
噺家「さて、今宵のおとし話――聞いて損はない一席です」
(観客がどっと笑っている。子供まで前のめりで聞いている。)
シュペルク「……すげぇ、本当に面白い!テンポも早いし、間の取り方もうまい!」
フィビアス「江戸では笑いも“消費”のひとつ。日々の疲れを理解するための思考装置です」
フローレン「笑いは、魔法よりよく人を癒すよ。……千年見てきて思う」
(寄を出ると、町は暗い席。行灯のかすかな照明が点が続いている。)
シュペルク「……うわぁ、暗いな。本当にこれで夜を過ごしたの?」
フィビアス「はい。行灯は菜種油を使いますが高価です。普段は魚油など安いものを使うので、匂いも強くて明るいか弱いです」
フローレン「だから夜は“長く起きない”のが基本。午後九時から十時まで寝る。油を節約し、火事も防ぐ」
(長屋に戻って、女将が行灯に火を入れ、布団を敷いている。)
女将「さぁ、もう寝る時間だよ。明日の朝も早いんだから」
シュペルク「えっ、もう?まだぜんぜん元気なんだけど」
フィビアス「江戸の暮らしは“太陽に聞こえる”ものです。日とともに起き、日とともに眠り」
フローレン「その方が自然だよ。……灯りに頼らなくても、人は眠れる」
(テロ町木戸が閉まり、江戸の街は闇と静寂に包まれる。井戸の水音、虫の声だけが残る。)
シュペルク「……おやすみ」
フィビアス「おやすみなさい」
フローレン「……また明け六つの」




