江戸時代にタイムスリップ 「午後:寺子屋とおやつ――子供と学びと甘味」
(午後二時――午後二時頃。寺子屋に通っていた子供達、手習いを終えて長屋へ戻って来る。)
シュペルク「お、子供たちが帰ってきた! なんかすごい元気だった」
フィビアス「寺子屋は八つ(午前八時)頃から始まって、昼食はさんで午後二時頃まで。往来物を使って読み書き、算盤を練習するんです」
フローレン「小さい子と大きい子が同じ部屋で学ぶのは、分からないね。師匠がひとりずつ見ている。『個別指導』ってやつだ」
シュペルク「へぇ……ぼく、そういうののほうが向いてるかもな。とりあえずでとりあえずやるより」
(帰宅した子供達、長屋の縁側に腰かけて手を伸ばす。)
子供「母ちゃん!おやつ、ちょうだい!」
女将「はいはい。今日は“駄菓子”と、畑でとれた柿だよ」
(小さな包みを開くと、黒砂糖を固めた菓子、せんべい、豆飴がころころと出てきます。)
シュペルク「わっ! いいなぁ……俺も食べたい!」
フィビアス「江戸時代の『おやつ』は、この二回目に食べる駄菓子や果物が定番です。だから『お八つ』が『おやつ』になった」
フローレン「駄菓子は安い原料で工夫されています。黒砂糖、水飴、くず米や豆。子供の楽しみであり、親にとっては『ご褒美の管理』でもありました」
シュペルク「なるほどな。お小遣いで買いに行ったよね?」
フィビアス「そうですね。木戸番の番屋では菓子駄や焼き芋も売ってました。一つ。子供でも手に入る額です」
(駄菓子を手に持った子供たちは、笑いながら井戸端で遊び始めます。)
フローレン「遊んで、遊んで、少し甘いものを食べる。……そうやって、子供の“体と心”が回っていく」
シュペルク「……なんか、見てると安心するな」
フィビアス「ちなみに、遊びすぎると叱られるのも一緒です」
女将「こら!井戸の縁に腰掛けちゃいけないよ!落ちっこちたらどうするの!」
(子供の笑い声が、長屋の路地に聞こえていました。午後の江戸は、のどかな賑わいに包まれていました。)