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無気力ニートのおっさん、女神のスキルで異世界最強になりました  作者: シャリまぐろ1世
【1】生意気天使と共に異世界へ
4/19

旧版:ここまでの全話まとめ

旧版 第0話 砂漠に転がる36歳、戦車に轢かれかける

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「もう夕方か...。」


結局何もしないまま、いつも通りの1日で誕生日が終わりそうだ。

36歳ともなるとどうでもいいが。


でも誕生日くらい、小さな幸せがあってもいいよな...。

この時間ならお寿司の出前もまだ間に合う。

貯金を切り崩す生活が1年。残りもわずかだけど、今日くらいは贅沢してもいいかな?

うん、今日贅沢して、明日から本気出そう。


そんなことを思いながら、お気に入りの漫画を手に取り、見慣れたページをめくっていく。

女神を信じる正義の少年が、格闘技のチャンピオンを目指す物語。

バトルも素晴らしいが、一番の魅力は人間関係を調律していく主人公にある。


「本当に女神がいるなら―」


「おじさん...」


少女の声が聞こえた瞬間、床から伸びた光に包まれた。


「何の光!?」


足元に魔法陣が見えたが、光が強くて反射的に目を閉じる。


◆◇◆◇


次に目を開けた時、俺は砂漠に立っていた。

足元の魔法陣が消えると、焼けた砂で足の裏が熱くなり、思わず尻もちをつく。


「なんだったんだ? あの声...」


何が起きてるのかわからなかった。


「...どうやったら帰れる? いや、帰りたいのか?」


どうせ退屈な無職生活、そろそろ貯金も尽きる...。

気持ちを整理して落ち着いた頃には、自分の命なんてどうでもよくなっていた。


...暑い。胸元を掴んで扇いでも、Tシャツに描かれたお寿司の絵が揺れるばかりで、全然涼しくならない。

もう考えるのはやめて、この景色を女神様からの誕生日プレゼントだと思うことにしよう。

そうやって気持ちを割り切ってみると、世界は驚くほど綺麗に見えた。


まっすぐに俺を見る太陽、澄んだ青空、すくい上げてもこぼれ落ちていく無数の砂粒。

なんだか自然と一体化しような気分だ。


「もう少し早く、こんな気持ちになっていれば...。」


多少の後悔を感じつつも、不思議な心地良さを感じて仰向けに寝転んだ。


ぼーっと空を見ていると、空に妙な気配を感じた。

見ると、太陽とは逆の方向に巨大な魔法陣が現れていた。

大きさこそ違うが、部屋で見たものと同じように光っている。

そこから白い巨大構造物が、少しずつ姿を現していく。


「なんだあれ? 船... いや、戦艦?」


白い戦艦がこちらに正面を向け、魔法陣から出て来る。

艦首に配置された白い戦車もこちらを向いている。


「綺麗だな...。戦艦って... こんなに大きいのか...。」


突然艦首から青白い光が放たれ、俺に向かって何かが飛んで来た。

一瞬見えたのは、ミサイルや砲弾ではなく戦車そのものだ。


目の前が真っ白になった―




——————————————————————————

旧版 第1話 現れたのは、メスガキ天使?

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砂漠で戦車に轢かれたと思ったら、空も地平線もない白い空間にいた。

音は響かず、足元には白い霧が這う。


そこにいた8才くらいの少女に、ここまでの出来事を語った。

反応してくれることを期待して、薄ピンク色の丸くて大きな瞳をじっと見つめる。


髪型は、瞳と同じ色のショートボブ。

前髪はおでこの前で斜めにまっすぐ切られ、両サイドはあごの高さまで長く伸びている。

華奢な体には白い布が巻かれており、頭上には光の輪、背中には光の翼が見える。


少女が笑顔になった。

眉が八の字に曲がり、少々腹の立つ表情をしている。


「ざっこぉ〜☆ おじさん、あんなのもよけれないのぉ〜? よわよわじゃ〜ん☆」


避けられるわけないだろ...。

声に出すのは我慢した。生意気だが相手は子供だ。

言葉が通じる。この状況についても何か知っている様子だ。

中身も見た目通り子供のようだから、ここは大人らしく接してやるとしよう。


「は〜い〜? 全然余裕でしたけど? 今もピンピンしてるし!

ジャンプもできるよ?見たい?しょうがないなぁ見せてあげるよ!

ほら!」


軽く跳ねておちょくってやろうと思ったが、俺は異常な速さで地上を離れた。

正面にいたはずの少女が、下で小さくなっている。


「なっ...! これ、落ちたら―」


一瞬死を覚悟したが、難なく着地できた。

俺は大人らしく、余裕を見せる。


「...な? ゲンキだろ?」


一瞬、間が空く。


「アッハハハハ! 焦ってやんのぉ〜! おじさん、ダサダサじゃ〜ん☆」


流石に見透かされていたが、確実に好感度は上がっている。

この調子で情報を引き出していこうと思ったが、意外にも少女の方から話し始めた。


「あたしはメルカ! 天使だよ!

おじさんを助けてあげたのはメルカ様なんだよ? 感謝してね☆」


天使...? 想像とは違った。

助けたってことは、多分まだ死んでないみたいだ。


少女に歩み寄ってしゃがみ、目線を合わせる。


「ありがとう。メルカが助けてくれたんだね。

俺はテルユキ。どうして助けてくれたの?」


「世界を良くするためだよ!

女神様から人にスキルをあげる役目を任されたから、たぶんスキルで世界を良くしてってこと!」


女神...。本当に存在したのか。まあ、天使がいるんだもんな...。

でも、俺が世界を良くするって...?


「でも役に立たないざこばっかだから、強いスキルは回収してほかの人にあげることにしたの。

メルカは回収なんてできないって女神様に言ったら、あんたに頼めって言われちゃった。

あんたにしか使えないスキルを3個もくれたんだよ」


俺が選ばれた?

なんでだろう、普通の生活をしてただけなのに...。


「なんで女神様があんたみたいなざこを選んだのかわかんないけど、元の世界にもどしてほしかったらメルカを手伝ってね☆」


元の世界に戻れる...?

もう人生なんてどうでもいいと思っていたが、さっき死にかけて考えが変わった。

普通の日常でいい、ささやかな幸せでいい。もう一度お寿司を食べたい...。


「...お寿司の世界に帰りたい―」




——————————————————————————

旧版 第2話 ステータスが全部∞で若干引いた件

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「俺はこの世界を良くして、絶対に家に帰る!

そして美味いお寿司を食べる!」


「...なにいってんのかわかんないけど、言うこと聞けてえらいね♡

じゃー回収の仕方をおしえてあげる。手でさわって、【回収】って言うだけだよ」


メルカの手元に魔法陣が出現した。

一瞬、まばゆい光を放つと、手のひらの上にハムスターが現れた。

何が起きてるんだ...。


「ステータスオープン」


空中にゲームのようなウィンドウが浮かび上がる。


「わっ! なんだこれ!」



種族: ハムスター

HP: 600/600

攻撃力: 27

防御力: 32

魔力: 5/5

魔法攻撃力: 5

魔法防御力: 30

敏捷性: 32

スキル: 【火魔法】【氷魔法】【雷魔法】



「いちいちおどろくなんて、なっさけな~☆

ハムちゃん、火を出して♡」


ボッ!っとハムスターの口から小さな火が出る。

その瞬間、魔力が0/5になった。なんなんだ...。


「おもしろいでしょ。あたしがスキルをあげて遊んでたの。

はい、ハムちゃんからスキルを【回収】してみて。」


人にスキルをあげるのがメルカの役目って言ってなかった...?

そんな遊びして、女神様に怒られないのかな?


おそるおそるハムスターにふれる。


「...【回収】」


ハムスターの体から白い光が飛び出し、メルカの体に入っていった。

ステータスウィンドウからは全てのスキルが消えている。


「やればできんじゃん♡

いま回収したスキルはあんたにあげる。ごほうびだよ♡」


そう言って人差し指を振ると光が飛び出し、俺の体に入ってきた。


「はい、しゅーりょー。ねぇ、テルもステータスオープンって言ってみて!」


「...? ステータス、オープン」



種族: 人間

HP: ∞

攻撃力: ∞

防御力: ∞

魔力: ∞

魔法攻撃力: ∞

魔法防御力: ∞

敏捷性: ∞

スキル: 【火魔法】【氷魔法】【雷魔法】

ユニークスキル: 【全ステータス∞】【回収】【剥奪】



「わぁ...。」


ものすんごいことになってる...。

この【剥奪】ってなんだ?


メルカの方を見ると、隣で得意げにニヤニヤしていた。

俺にスキルを付与したところが見せたかったんだろう。

かわいらしいところもあるじゃん。


「すごいねメルカ! ありがとう!」


「ふふん、満足した? じゃ、世界におりてさっさと回収しよう☆」


「おし! テル先生に任せな!」


「うざぁ~...」


「ところであの戦艦... 砂漠の白くてデカいヤツはなんだったのか教えて?」



——————————————————————————

旧版 第3話 大爆発に巻き込まれて異世界へ

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「あの白くてデカいヤツ、多分魔法だと思うけど、魔法ってあんな物まで出せるの?」


「ああ、アレ? フツーはできないけど、あれは絶対にユニークスキルの【創造】!

メルカがあげた力をムダ遣いするなんて、信じられない!」


「...怒るとこ、そこ? 俺の命は...?」


ユニークスキルを悪用して俺を殺そうとした奴がいる...。

あんな力を持った相手から、本当に回収なんてできるんだろうか?

そのための【全ステータス∞】と【剥奪】か?


「あ、そうだ☆ せっかくだから、テルがいたところが今どうなってるか、見せてあげる!」


メルカが顔の前で右手を振ると、巨大なウィンドウが浮かび上がり、砂漠にできた巨大なクレーターが映し出された。

直径100m以上はあるな...。


「メルカが助けてあげなきゃぺちゃんこだったね☆

ね、わかった? わかったら絶対に回収して!」


「そうだねぇ...。もしかして、俺にもあんなことができちゃう?」


「あったりまえじゃん! 女神様があげた力なんだから、最強に決まってるでしょ!

さ、じじいをこらしめにいくよ!」


メルカが駆け出した。

じじい? メルカには心当たりがあるようだ。

ユニークスキルというくらいだし、【創造】を持つのは世界に1人しかいないんだろうな。


メルカが20mほど走って立ち止まると、ぴょんぴょん跳ねながら叫ぶ。


「テル~! ここに魔法で穴開けて!!」


地面しかないこの空間ではどこも同じに見えるが、メルカにとっては違いがあるらしい。


「どうやって!? 魔法なんて使えないよ!」


「え~、スキルあげたじゃん...」


歩いて戻ってきた。歩くと結構時間のかかる距離だ。


「じゃあテキトーでいいから、手を伸ばしてなんか出そうとしてみて。

しょーがないから、できるようになるまで待っててあげる。

ま、あんたじゃ100年かけてもムリだけど☆」


...大人の力を見せてやるか。

とりあえず、爆発で穴を開けるようなイメージで―


「ざぁ~こ☆ ハムちゃん以下のよわよわおじさん♡ はやく―」

「ファイア」


ゴウッ!!


勢いよく音を立てて、視界を覆うほどの巨大な火球が現れた。


「お”っ...」


メルカは驚きの声を漏らすと慌てて俺の後ろに隠れた。

さっきメルカが跳ねていた場所に着弾して爆発し、爆風に巻き込まれる。

俺の体がびくともしなかったのは、きっと魔法防御力のおかげだろう。

しかし地面は一瞬で崩れ、俺たちは落下した。


胃の浮くような感覚、視界が白い霧に包まれる。


「なんだこれ!大丈夫!?」


「バカ!メルカに当たったらどうするの!?」


メルカもお寿司Tシャツも無事だ。


「どうすればいい!?」


「なんとかして!!」


2人で言い合いをしながら落ちていく―




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旧版 第4話 次

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