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1000字短編

若きシェヘラザードの悩み ーカレンダー王子の物語執筆中なので邪魔しないでー

作者: 蘭鍾馗

「毎晩更新とか、ないわー。」


 蜂蜜酒を飲み干しながら、シェヘラザードが大きくため息をつく。


「アクセスは毎晩シャフリヤール王の1回だけでしょ。それで評価は星5つもらったとして、最大でも1日10pt。これが千日出来たとしても10,000ptよ。書籍化なんて夢のまた夢。」

 いや、そんな冗談はどうでも良くて、それより今夜の話。出来なかったら明日の朝処刑よ。

「また不倫系の話かな。この手の話に妙に食い付きいいのよね。」


 まあ、わかるけどね。


 王が弟と飲みたくなって呼んだら、王の留守の間に妃が20人もの奴隷男とやりまくってたって弟から聞かされて、でも弟がニコニコしてるから理由を聞いたら「うちもそうだけど、兄さんとこに比べるとまだましだった。」って言われて、頭に来てお妃殺して弟と傷心の旅に出ちゃったのよね。で、旅の途中で魔神に会って、その魔神が連れてた女に、魔神が寝てる隙に「やんない?」って誘われちゃって、で、女に言われるのよね。


「女が一度やりたいって思ったら、もう誰にも止めらんないのよ。」


って。


 それが王には呪いの言葉になっちゃった。


 それ以来、国中から毎晩処女を連れてこさせて、やったら翌朝処刑なんて、女に対するなんて歪んだ復讐。前言撤回。わかりたくないわ。でもどうにかして止めさせないと、国から女が居なくなっちゃうわよ。


 だからあたしが止めさせる。物語の力で。


 毎晩寝物語を聞かせて、盛り上がった所で「今夜はここまででございます。」って言うの。王は続きが聞きたいから私を殺さない。でもつまんなかったらそこでジ・エンド。

 そんな説明してる場合じゃないんだって。


 カランダール(托鉢僧)のお話にしようかしら。正体は一国の王子なの。え?カレンダー王子じゃないのかって?なにそれ聞き間違いじゃないの?って、さっきから私の頭の中に質問してくるの誰?だから私今忙しいんだってば。


 バグダッドの館に三姉妹がいるの。そこに元王子の托鉢僧がやってきて客として迎えられて、なんだか知らないけど一人一話ずつ話をすることになった。で、なんでか全員裸なの。何でもいいからそういう設定にすると王の食い付きがいいからね。で、話が一つ終わるごとに蝋燭を1本ずつ消して、ってそれじゃ怪談だわ。そうじゃなくて……


 いやそんなことより、なんで誰も王にこんなこともうやめろって言えないのよ。これあたしの仕事なの?


 今日も、作家シェヘラザードの悩みは尽きない。





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