001_親戚のおじさん、何する人ぞ?
私には変なおじさんがいました、父の兄にあたる人です。
一方的に変だと評価するのはよくないとは思う、ただ客観的に見るとそうとしか言えないのじゃないかな? と、一般的な評価が下されると思うんだ。
日本的家族付き合いの定番として、お盆と正月の二回、親族が一同に会するようなイベントが私たちには普通にあったんですね。
でそこで集まった面子の内訳、
父方の兄妹は三人いて、まず長女、次に変なおじさん、そして私の父にあたる三男。姉と弟の二人は既婚者、私を含めて子供がそれなりにいて、親族が集まる場は賑やかでしたよ。
変なおじさんはまあ変なおじさんだったので独身です。
ちょっと昔なので、良い年をした男が結婚もせず、家庭も持たなないで、ふらふらしている、というだけで、周囲からは奇異の目で見られてたんですよ、変なおじさんが変であると言われる所以の一つだったんですよね。
さらにね、その変なおじさん、何の仕事をしているのかが、不明であったのですよ。どうやって生活を成り立たせているのか、集まった親戚一同の子供達に全くわからせていなかったのですね。
自由人とか旅人とかそのように言うことが多かったようにも思うのですが、いわゆる山師では?と推測していたのですけれども、まあ、なんともあれ、食べていけるくらいには収入はあった、ようでして。
むしろ、不思議なことに変なおじさんの、金回りは良かったのです。会うたびに、お小遣いも多めにくれたし、誕生日とかクリスマスとか正月とか、お盆休みとかのイベントごとには結構上等なお土産、お酒とか果物とかお菓子とか、を持参していた覚えもあったのです。
職業が不明というしかし金回りは良いとなると、犯罪に関わっているのか?とかと私たち子供の間で噂されたりもしたのですが、雰囲気的にその手のトラブルはなさそうではありました、いやこう言動は怪しかったけれども。
変なおじさんの両親、つまりは私の祖父祖母なんですけど、これが時代によらず、結構大らかな性格をしていたので、そのままの変なおじさんを受け入れていたようです。
いやまあ、普通に嫌味に近いやりとりやら、皮肉やらの応酬はあったけれども、険悪になるほどのことはなく、仕方ないなぁという、あきらめが、祖父母共に見て取れていました。
変なおじさんは、結構、社会不適合であるように見えていたけれども、その親はそれを許容していたところに違和感があったのは確かです。
過去に色々あったのであろうなぁという想像をしてみたりもしました。結構波乱万丈な物語ができてしまって、勝手に楽しんだ覚えがあります。
後に、私の実父からあの変なおじさんはね、と、若い頃のとんでも不可思議エピソードを耳にして、いや想像力の上を超えてくるのはどうなのかと驚愕したのも懐かしい思い出ですね。
そんな変なおじさんが、いなくなった後に、彼の古めかしい書斎に残された膨大な帳面、書き付けを、色々と紆余曲折があったのちに、私が受け継ぐことになりました。
そこに書かれた物語のような、思想のような、ちょっと不思議な文章から、インスピレーションをもらったお話を、これから書き記していこうと思います。
申し遅れました、私は、趣味で小説を書いている者です、以後お付き合いの程をよろしくお願いいたします。




