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第1話その1 炎の大魔女オースト・イーギア

 私はリーディア・マルゴット。イリイスガイ帝国の王家に仕えるアルローイ・マルゴット伯爵の娘。上には兄が二人、ジョイとフォルがいて、母・ナッセルと共に仲良く暮らしていた。


 …………はずだった。


 王座の間で声高に告げられた。

 「リーディア・マルゴット。お前を死刑に処す」

 アルセウヌ王に睨まれて周囲からは白い目で見られて、遠くの方で婚約者のライオール第一王子は薄ら笑いを浮かべていた。赤茶色の髪を持つ婚約者は爽やかなイケメンだと評判だが、それも全て形無しだ。

 『はぁ……とうとうこの日が来たか』

 死刑にすると言われても特に驚きはない。あの遠くで薄ら笑いを浮かべているクソ婚約者が全て仕組んだ。何で彼がこんなことをしたのかって?親の都合で私の婚約者になったのがすこぶる嫌だったからだ。彼は愛想は良いが腹の底は黒い。つまり性格は良くないどころか、かな~~~り悪かった。裏で誰かを虐めるのは日常茶飯事。自分の親がいない所で遊んで仮の恋人=セフレが何人もいる。本命の恋人とやらもころころ変わる。このように彼は性格は悪いが面自体は悪くないので騙される人が多い。自分の味方に付けたい人に対しては爽やか好青年を演じて、老若男女問わずに多くの人に好かれ支持されていた。

 『こんな悪人に騙されるなんて……なぜここにいる人たちは彼の本性に気づかないのかしら?』

 私なんて初めて会った時から胡散臭い……というより彼の正体を知っていたし、初めて会ってから数日経った日にライオールは仮の恋人=セフレにならないかって聞いてきた。あまりのはしたなさに呆れて溜息ついて断ったら、翌日から彼に冷たくされた。その数か月後、アルセウヌ王と私の父が長年の友人で仲が良く、二人の取り決めで私たちは婚約することになった。もちろん彼は怒りが頂点に達して、こんなアホらしい画策をした。今の私はこんな設定。


 ①私がライオールの想い人に嫉妬して彼女に日常的に嫌がらせ。

 ②先日その想い人が大怪我をする。一歩間違えていたら死んでいたかもしれないほどの重体。

 ③それを仕組んだのはリーディア、この私。


 ……それをして誰が得をするのよ?嫌がらせとか頭が悪い人のする暇つぶしなんて私がするわけないじゃない。それに、その想い人とやらも本当の想い人じゃなくて仮の恋人=セフレの一人で、飽きたけど分かれてくれなくて邪魔になったから今回を機に殺そうとしたくせに!!


 私がそんなことを考えていたら、少し離れた所でお父様が私に向かって怒鳴っていてお母様は泣いていることが分かった。ジョイお兄様とフォルお兄様は冷たい目で私を見ていた。みんなクソ婚約者に騙されている。



 はぁ~~~~~、馬鹿らしい!!


 あまりにも馬鹿らしいわ!!!!


 周りが人間の本性を見抜けない馬鹿ばかりなのはよく分かったわ!こんな馬鹿だけしかいない国なんてこっちから願い下げ!!



 「そんなに私を悪女に仕立てあげたいのね?でもここで悪女として死ぬ気はないわ!」

 私は指でパチンっと鳴らして煌びやかな赤いドレスから動きやすい服装に変身した。黒いローブに白いブラウス、スキニータイプの黒いズボン、そして膝下まである灰色のブーツ。それらは私を臨戦態勢にさせた。再び指を鳴らして空中から箒を取り出して跨る。「誰か捕らえよ!!」という王の言葉が言い終わる前に私は高く宙に浮く。


 「さようなら、馬鹿ども、クソ足軽王子!私のいない所でどうぞお幸せに!」

 私はそう言って人々の上を颯爽と飛んでいき、王座の間を超えて城の外に出た。城の南の方角にある国境を越えて海を渡り、さらに南へ南へ進むとジュイディッカ光国(こうこく)がある。その国に(ほむら)の森ジュジュッカと呼ばれる樹海があった。そこに【炎の大魔女】のオースト・イーギアが住んでいる。そう、彼女こそが私を【雷の魔女】に育て上げてくれた恩人であり、この世界で一番敬愛している師匠がそこに住んでいた。





 


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