エピローグ「残響」
世界とは何なのだろうか
内面的な物なのか?外面的な物なのか?
外面的な物で有るのならば、どこまでが「世界」なのか?
自分の認識できる範囲が「世界」なのか?
自分の手が届く範囲が「世界」なのか?
自分の知っている場所が「世界」なのか?
それともこの星全体が「世界」なのか?
この宇宙全体が「世界」なのか?
もし、「世界」の範囲を定めたとしてその範囲の外には他の「世界」が存在するのか?
動的な物なのか?静的な物なのか?
長年、多くの人間が考え、そして自分なりの答えを見つけてきた、それは言わば「命題」であった。しかし、最早「世界」の定義などどうでもいいのかも知れない、彼・火神春翔はそう考えるようになった。この世界がどんな形であれ、どんな範囲であれ、今自分に為すべき事はこの世界を守ることだとも思った。
窓から外を見上げる。
何年も変わらない星々の輝きが、同じく何年も変わらない彼を見つめている。無論星々とて不変では無いだろう、だが人間よりも遙かに長く輝き、遥かに長く虚空の孤独に耐えている、その姿に彼は慰められるのだ。
糸車は廻った、しかし未だ止まらない。糸を紡ぐ役割は再び彼の許へと還った。そんな彼の心には、あの頃の残響がただ静かに木霊していた。
残響 了




