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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
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73話「再登場」

風と共に世界中の空が紫色に染まった。

オオサカで、タイジョンで、北京で、トンギで、ナワリンで、世界中の人々が空を見上げた、その視線に込められた思いは違えども、皆等しく空を見上げた。そこには争いも差別も貧困も存在しなかった、1時的にとは言え、ある意味究極の平等が達成されたのである。

ある一組の親子も、そんな空を見上げる群衆の中に身を寄せ合って存在した。6歳の息子が母親の服をつかんで母にしがみつく。

「お母さん、怖い、、、!」

「落ち着きなさいガブリエーレ、あなたの父親ともう一人の親はこの空の向こうで世界を守るために戦っているのですよ」

ブルブルと震える息子の肩を抱き、しっかりとした眼差しで空を見上げる。「母は強し」その言葉を体現する女性が、そこには存在していた。


「う゛う、、、う゛あっ!ぐぅぅぅぅ、、、!」

トウキョウではチャルカがうずくまったまま動けなくなっていた、彼の身体に彼では無い何かが侵入していた、それに必死に耐えるチャルカから漏れる声はまるで獣のうなり声のようであった。

「下手に抵抗せずに一気に受け入れちゃえば良いのに、その方が楽だし君も神になれるんだよ?なんのデメリットが有るってのさ?」

「俺は、、、お前たちの、、う゛あっ!世界の神に、、、ぐぅっ!なん、か、、、なら、、、無い!」

「ふぅん、まあ良いや」

興味なさげにゲベートが呟く。

「そうしていられる内はそうやって抵抗していれば良いさ、でもね君の体には確実に世界そのものが入ってきてる、そう遠くない内に君は世界で満たされ神と化す、君だって気づいているだろう?」

そう、確かに彼の身体には、ゆっくりとしかし確実に彼以外の何かが入り込み、そしてそれは1秒毎に彼の中に占める割合を高めていった。

「はぁ、、、はぁ、、、ぐっ!」

「耐えるねぇ」

煽るようなゲベートの声にも最早反応するだけの気力は残っていなかった、腕に、足に、腹に力を入れて苦しみに耐える。

不意に辺りに警報が鳴り響く。

「!?」

「なんだ?ガーディアンズの残党が自暴自棄になって突撃でも仕掛けてきたのか?」

「面倒だな」そう言いながらパネルを操作する彼の顔に疑念の色が浮かんだ。

「ガーディアンズは別働隊を用意してたのかい?」

「は?」

ゲベートがチャルカにパネルを見せてくる、苦しみに耐えつつどうにかそのパネルに表示されたレーダーの映像を見ると、ガーディアンズ艦隊100隻程が先ほどミライを中心とした艦隊がレストニア教艦隊と交戦した位置とほぼ真逆の方向から突撃してきていた。

「、、、し、、、るかっ!ぐはっ!、、、俺は、、、しら、、、ねぇ、、、ぐふっ!う゛あっ!」

「はぁ、、、仕方がない、海上トーチカを起動させよう、、、全く手間を取らす、、、」

ブツブツ言いながらパネルを操作するゲベート、いくつかの操作を行い、偵察用小型艦からの映像が入ってきたとき、不意に彼の体の動きがフリーズした。

「なっ、、、!?」

「?」

チャルカがパネルを覗き込む、すると彼もまた驚きにより身体に異物が入ってくる苦しみも忘れフリーズした。

彼らが固まってしまうのも無理は無い、パネルに映る艦隊の中心には、ついさっき彼らの目の前で沈んだはずの戦艦・ミライの姿が有ったのだから。

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