6話「メンバー」
ラスコー砂漠を飛び立ち、北上を続けて4時間が経過していた。
チャルカの視界には時々現れるオアシスや鳥獣の大群以外ずっと同じ黄土色の世界が広がるだけだった。そんな彼の隣でハルは鼻歌など歌いながら上機嫌で操縦桿を握っていた。
「、、、なぁ、あとどれくらいで着くんだ?」
余りにも退屈過ぎてハルに尋ねる。
「ん~、、、今ブリャンカの都市遺跡を通過したから後30分もしたら着くかな」
「そうか」
「どうした?退屈過ぎるかい?」
「当たり前だろ!かれこれ4時間は座りっぱなしだぞ!」
「まぁそう怒らないでくれよ、、、そら、面白いものが見えてきた」
「?」
訝しげに窓の外をみると何かが飛んでいるのが見えた、だんだんと近づいてきてわかるようになると息を呑んだ。
ソレはミライよりも一回り小さい船だった、それが2隻、ミライの両側を平行して飛んでいた。
「俺が田舎者だからか、、、」
どこかで聞いたような台詞を吐きながら目の前の巨大な壁を見上げる、ミライよりも一回り小さいとは言え、そもそもの比較対照たるミライが巨大な分、この二隻の船も小さいとは言い難いのだ。
ナワリンの郊外に3隻は着陸した、ミライの横に2隻が縦に並んで着陸している。不意に2隻の外壁の一部が開き、中から人が出てくる。
「おーい!」
「こっちこっち」と言っているのが聞こえるぐらいハルが大きく手を振る。
「ハルさーん!めっちゃ久しぶりじゃん!元気?」
「ご覧の通りだよ、ジェシカも元気そうで良かった、それにリリーも」
「ええ、久しぶりね、ハル、一年振りかしら?」
「そうか、、、そんなになるんだね、、、おっリオにアレク」
少し遅れて「リオ」「アレク」と呼ばれた男性2人が近づいてくる、女性陣の時点でおいていかれていたチャルカはさらなる新メンバーにたじたじとなっていた。
「よぉハル、久しぶりだな?」
「あぁ、久しぶり、アレクも元気してたかい?」
「はい、ハルさん」
「アレクの奴、また強くなってなぁ、、、そろそろ抜かれる日が来るかも知らんな」
「そんな、、、俺なんかまだまだですよ、リオさん、、、それでその子は、、、?」
不意に4人の目がこちらに向いた、驚きで声が出せない、だが沈黙が流れるような事は無かった。
「あぁ、ハルが拾ったっていう例の男の子ね、一週間前にそんな連絡をもらってとても驚いたのよ?」
「リリー」と呼ばれた女性がそう言うと皆納得したような顔をした。
「じゃあお前さんはガーディアンズの新メンバーと言うわけか」
リオが言う。
「ま、そう言うことだ」
「チャルカ、自己紹介を」そうハルが囁く。
「あぁ、一週間前にガーディアンズのメンバーになったチャルカだ、よろしく頼む」
「チャルカか、俺はリオ、リオ・マレストローニャ、アレクと一緒に旅をしている、まぁリオと呼んでくれや」
オレンジ色の短髪の男が話す、目つきが鋭く、ライオンのような印象を受ける男だ。
「あたしはジェシカ・アイランズ、「ホッフヌンズ」に乗ってリリーさんと任務についてるんだ~!」
ピンク色の髪をした女性が話す、まだ少女のようなあどけなさを残すが身長はチャルカよりも高い、「ホッフヌンズ」は彼女が出てきた船の名前だろう。
「次は私ね、私はリリー・エバンズ、ジェシカと日々任務についてるわ」
黒髪の女が口を開く、「これが大人の余裕か」と感じるほど落ち着いたまさに大人といった人だ、ジェシカとの対比がまた面白い。
「俺はアレクサンドル・ブローラー、長いからアレクでいいよ、「ヴィレ」、、、向こうの船に乗ってる、よろしくね」
最後に紫がかった黒髪の男が話す、少し長めの髪を持つ、端正な顔立ちの青年だ。
「成る程、話に聞いていた通り、なかなかの逸材を手に入れたじゃない、ハル」
チャルカをじっと見つめていたリリーが言う。
「あぁ、ダルマ国で王子をしていたらしい」
「へぇ、、、通りで」
リリー、リオ、それにハルの3人が話始める。
「ね、チャルカくんはどんな魔術が使えるの?」
不意にジェシカに問われる。
「へ?」
「それは俺も思った、すごい量の魔力が有るから」
アレクもその問いに同意し、不思議そうな顔をしてチャルカを見つめる。
「えっと、、、」少し口ごもりながらもどうにか説明した、自分は田舎育ちで魔術に触れるのがほぼほぼ初めてなこと、そのためまだ魔術が発現していないこと、2人は非常に驚き、目を見開いた。
「魔術に触れるのが初めて何てこと有るんだ~」
「驚きだな」
彼らの言葉に(俺が田舎育ちだからか、、、)とごちる。
「、、、俺が訓練しようか?」
「おっそれがいい、それがいい、コイツ、教えるのうまいからな!」
いつの間にか近くにいたリオが言う。
「決まりだな」
そう言ってアレクがニヤリと笑う。
「えっと、、、じゃあ、、、よろしく、、、お願いします、、、?」
チャルカが特訓の末魔術が発現するようになったのは3日後のことだった。