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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
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63話「艦隊集結」

新暦151年9月25日午前10時23分。

旗艦である戦艦ミライを中心とした艦隊は、タイジョン沖12キロの海域にいた。

タイジョン近郊に停泊していた艦との合流は済み、後は各艦が所定の位置につけばいつでも出発が出来る所まで来ていた。

『戦艦クスコ、所定の位置に到着、航行モードを空中制御に切り替えます』

『巡洋艦マッラウィー、所定位置到着まで3分の遅れが、、、』

『巡洋艦マッラウィー、到着時刻を遵守、速度を1速から3速へ』

『巡洋戦艦浅間、メインエンジンに問題発生、指示を、、、』

ハルとチャルカの席の間に有る無線機は、絶え間なく報告、指示、連絡の無線を流し続けていた、耳を澄ませると指示の無線の中には李舜臣やイニーゴ・カンピオーニ、時々リオやリリーの声が混じっている。

「壮観だな、、、」

「ん?なんだって?」

巡洋戦艦浅間にタイジョン港への帰還とエンジンの点検、可能であればカゴシマでの艦隊への合流を指示して無線機を置いたハルが問いかける。

「いや、これだけ艦が集まってるのも凄いなと思ってな」

「あぁ、、、でも、これでもまだガーディアンズ全体の半分もいないんだよ?カゴシマ付近でさらに300隻近くが合流してくる」

「そうか、、、」

「少し外に出ても良いか?」とハルに訊ね、「30分後には出発だから気をつけてね」と言う声を背に甲板に出る。見渡せる限り海は艦で埋め尽くされていた。

戦艦、巡洋艦、巡洋戦艦、駆逐艦、一口に艦といっても色々なバリエーションが有るし、1部の軍から払い下げられた物を除いて基本的に艦級に統一性もない。そんな大小様々な艦の中で、最も大きいのはまず間違いなくミライであろうが、おそらく最も目立っているのはイニーゴ・カンピオーニの巡洋戦艦パクス=ロマーナであろう。

白い艦体にワインレッドで「SPQR」と塗装されているだけだが、グレーなどの黒系の色が多い中で、白というだけで目立つし、巨大な艦砲という物々しい物を装備していながらどこか優雅さを感じさせるその造形(ディティール)もパクス=ロマーナが目立つ要因の1つだった。

潮風が頬を撫でる。

辺りを見回すと、いましがた考えていたパクス=ロマーナが目に入る。

ミライとパクス=ロマーナの間は1キロ程は離れている筈だが、難なく見つけることが出来た。

そのパクス=ロマーナのいる方向と反対を向くと、リオの艦ヴィレと、リリーの艦ホッフヌンズが身を寄せ合うように並んでいた。

大きなあくびをする。

(ダメだな、、、もうすぐ出発だってのに、どうも頭がぼんやりする)

しばらく黙って海を見つめる。

(戻るか)

ハッチを開けて艦橋に戻る。

「あ、チャルカ、おかえり」

「ああ、ただいま」 

「丁度今呼びに行こうと思ってたんだ、よかったよかった」

「もう出発なのか?」

「うん、あと1隻準備が終わればね」

丁度そのとき、無線機から報告をする声が聞こえてきた。

『こちら駆逐艦ベハン、航行モードを空中制御に切り替え完了』

『了解、、、ハル、聞いての通りよ、いつでも行けるわ』

リリーの声を聞き、ハルとチャルカは顔を見合わせて頷きあった。

「了解、これより我々はニホン列島方面へ向けて出発する、途中何が有ってもおかしくは無い、全艦警戒を厳としてくれ!」 

無線機の向こうからちらほら「了解」と言う声が聞こえる。

「エンジン出力を上げろ!離水予定位置まで移動する!陣形を崩さず全艦隊微速前進!」

緩い衝撃と「フォォォォォン、、、」と言う静かな音と共に、戦艦ミライを中心とした艦隊は滑るように海上を航行しだした。

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