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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
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48話「東京結界無効化装置」

同時刻、タイジョン執政府庁舎の会議室にはハル、リオ、リリー、リチャード・エルメス博士とタイジョン側の技術者数名、そして王宮からわざわざやってきた女王サクラが一堂に会していた。

沈黙が流れる。

手元の紙を見つめるハル、リオ、リリーの表情は硬い。

「つまり、この「東京結界無効化装置」の使用中は一部を除いてほぼ全ての武装が使用不可になるということか?」

おもむろにリオが口を開く。

「はい、この装置も武装も、エネルギー源としてはメインエンジンの出力に頼っています。この装置はかなり莫大なエネルギーを消費しますから、武装に回せるエネルギーはほぼゼロになります」

タイジョン側の技術者が真顔で答える。

「しかもただ武装が使えなくなるのならばまだしも、現段階ではこの装置の起動に8分かかります」

「8分か、、、」

ハルが渋い顔をする。

彼の頭の中には最悪のケースがすでに想定されていた、それを言葉にしたのはリチャード博士だった。

「今のところ、恐らく敵も同じ状況、つまり装置使用中は武装が使用不可となっていると思われる。ならば東京結界内に入ってしまえば後は敵からも攻撃を受ける心配は無いわけだが、その東京結界直前でもしも待ち伏せをされたりしたら、、、」

「一巻の終わりね。8分有れば無抵抗の戦艦なんていくらでも沈むわ」

誰もが沈黙した。

今のところ地の利は相手にある。どれだけ性能の良い装備や艦をもってしても戦術的欠陥により敗北したケースなど歴史上いくらでもある。そしてその戦術は相手の方が圧倒的に組みやすい状況にあるのだ。

すると、それまで静かに話を聞いているだけだった女王サクラが静かに口を開いた。

「まぁ、まだ量産も始まっていないのだし、東京攻略よりももっと直近の事を考えた方が良いんじゃないかしら?」

サクラは一瞬ハルに熱っぽい視線を送った後テーブルの上を見つめながらハルに話しかけた。

「ハル、例の陸戦指導員はいつ来るのかしら?」

「ああ、今夜には着くはずだよ」

「すぐに指導を始めて貰いたいわね」

サクラはそう言うと侍従を呼び、軍司令部に明日からガーディアンズ指導員による陸戦訓練を取り入れるよう伝えるようにと指示した。

「ハル、俺たちもそろそろ例のアレの現物を見に行きたいところだな」

「ああ、タカチホの、、、」

「それに関しては後で話し合いましょう」

ガーディアンズ側も大まかな今後の動きが決まったところで会議はお開きとなった。

リチャード博士は技術者たちとの話し合いのため、タイジョン側技術者と共に足早に研究施設へと去っていった。

ハルたちも部屋を出ようとしたところでサクラに呼び止められた。

「ハル、明日の夜に1人で私の部屋に来て頂戴」

「、、、わかった」

「ハル、いつになったら返答するんだ?」

部屋を出るとリオに小突かれた。

タイジョンの女王サクラがハルに想いを寄せ続けて一世紀以上、彼女は未だその想いへの明確な返答を得ていない

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