36話「ガーディアンズ誕生」
建造開始から1年と半年、戦艦はほぼ完成を見ていた、艦内の部品や部屋の設置はほとんど済み、配線系も組み立てた発電機の試運転での小火騒ぎや、艦内に上手く電気が回らないといったトラブルもありながらどうにか完了した、しかし、彼らは今、最大の困難に直面していた。
「どうやって、主機を確保するか」
「そう!それなんだよ!」
いつものごとく小屋の共有スペースで、各々好きなものを飲みながらの会議の席上でソラから提示された問題はいかにしてエンジンのコアを確保するかだった、現時点でカミナルモノ由来の技術を利用したエンジンには、心臓の状態にまで還元したカミナルモノが丸々一匹分必要だった、しかも、それはそこら辺をうろついている雑魚ではなく、できるだけ強いものでなくてはならなかった。
「レストニア教はコアを製造する術を開発したようね、そうでなければこんなに多くの艦を建造できるはずがないもの」
「仁はすでにカミナルモノエンジン搭載艦を大量に建造してる、後清は人材が多いことに物を言わせて大量にカミナルモノを乱獲してるって話だね」
無表情を崩さぬままユウが言う、ここ数年で中華情勢は混沌を増していた、陳氏の建てた仁、愛新覚羅氏の建てた後清に加え、後清と前後して薬羅葛氏の建てた蒙があり、中華圏は3つの帝国が覇権を争う混沌とした危険地帯と化しているかのように見えた。
「今のところ注視すべきは仁、後清の2帝国か、蒙は完全な静観を決め込んでる状態だ」
「技術の仁、令、数の後清といった所かしら?」
「仁と令が連合を組んだら後清は数の優位さえ失う可能性が有るよ」
「それは困るね、できれば後清に勝ってもらいたい」
「なら戦艦の完成を急がないと、そして後清を支援する、今のところこの戦艦より巨大な艦の建造計画が出てるって話も聞かないし、うまくいけば後清からの金銭的、技術的援助も期待できるかもしれない」
「でも、それじゃあある程度組織だっている必要が有るんじゃないかしら?」
「なら俺たちのグループ名でもつけるか?」
ツバキの意見を受けてソラが口を開く、それに異を唱える者は居らず、彼ら4人は彼らのためのグループ名を考え始めた。
「じゃあ、これでいこうか」
色んな意見が飛び交い、最終的にグループ名が決まったのは日が暮れてからだった。
「「ガーディアンズ」、、、」
「「守り人達」という意味ね、この世界を守りたい、私達の意志がよく表れてると思うわ」
「異議なし!」
「じゃあ、「ガーディアンズ」成立を祝って乾杯といこうか」
それぞれがマグカップをもち、それをカチンと合わせた、この瞬間、メンバー4人、兵力はほぼ0の状態でガーディアンズは誕生した、「大陥没」を起点とした新暦18年、10月のことである、やがてガーディアンズは全世界をまたにかける巨大組織へと変貌を遂げるが、彼らはまだ、それを知らない。




