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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
33/83

32話「協議」

「、、、」

「、、、」

「、、、」

「、、、」

沈黙が流れる、意外と本格的な図面を前に考え込むことはや1時間弱、どこから取り出したのか眼鏡をかけて図面を覗き込むユウ、時折なにかつぶやきながら図面の線を辿るハル、大量にノートにメモを取るツバキ、そして気まずそうに身を縮める発案者ソラ、誰もが(ほぼ)無言であり、異様な雰囲気が垂れ込めていた。

「なるほど」

不意に沈黙を破り、約1時間うんともすんとも言っていなかったユウがつぶやく。

「基本的にはこれで良いんじゃないかな、致命的な欠陥が有るわけでも無さそうだし」

「じゃあ!」

「喜ぶのはまだ早いよ、俺は()()()()()って言ったんだ、改善の余地は普通にある」

「では、改善点を挙げていこうか」

ー上げて落とすのが上手いな、ハルはそう考えた、しかしそれを顔に出すようなことはせず、あくまで事務的にそう言った。

そこからはダメ出しの嵐だった、何故ここにこの武装を置いたのか、射界がほとんど取れないのにここに主砲を置く意味が有るのか、こんなに副砲を置いて航行に支障は出ないのか、艦首の形が空中航行に適していない、副砲にしたって主砲が回転できなくなるのに何故背負い式にしたのか、その他もろもろ、しかし、もっとも致命的なのはこれらではなかった。

「ねぇ、少し思ったんだけど」

「ん?」

「これ、高さ足りなくない?」

ハルが図面を指し示す。

「弾薬庫は多分拡張魔術で縦横1mぐらいに圧縮できると思うんだけど、さすがに高さ20~25mぐらいの機械が入るほどのスペースを魔術で圧縮は多分出来ないじゃない?」

「てか出来たとしても艦の心臓部を何が起こるかわからない魔術で作った空間に入れといて空間ごと消滅しましたじゃあ嫌だし」そう付け加えながらそろばんを弾く、どこで覚えたのかその手つきは鮮やかだ。

「一般的なカミナルモノ由来のエンジンは高さが20mぐらい、その他機器類を入れるとしたら最低でも高さ30m、横15mはほしいな」

「30×15だとギリギリ過ぎるわ、機関系は集中的に装甲を装備したいからその分を計算に入れないと」

「それだと設計を根本から変えないとな、、、」

また全員が考え込む、何かいい案は無いものか、機械系を専門としていない分柔軟な発想はできるが、どの程度が丁度いいのか、それが判断できずにいた。

「縦60、横40、はどう?装甲を盛ることも、縦横スペースを確保する事も同時に可能、損はない大きさだと思うけど」

「それでいくか」

反対するものはおらず、ひとまず大きさの問題はクリアされた。

「さて、新しい図面は我々で協議しながら引くとして、どうやって建造するかだな」

「あ、それなんだけど少し考えがあって」ユウが言う。

「ツバキに高さ80横幅50全長500くらいの金属の塊か何かを出してもらって、船体の部分はそこからソラの魔術なり、機械なりを使って切り出すのはどうかなって思ったんだけど。

「どうかな」そう言って周りを見回す、これにも異を唱える者は居なかった。

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