31話「計画立案」
「ちょっとちょっと!みんな聞いてくれよ!」
一大事だと言わんばかりにソラが手をブンブン振り回しながら山小屋の共用スペースに下りてくる、早いものでここでの生活もそろそろ7年目に入ろうとしていた、多少のトラブルや喧嘩騒ぎはあったものの、彼らは仲むつまじく、平和に暮らしていた、ただ一つ「カミナルモノを狩って生計を建てている」という点を除けば。
「なんだ、ソラまた一大事かい?」
紅茶を飲んでいたハルが茶化すように言う。
「またってなんだよ!」
「読んで字の如くだ、この前の「一大事」はなんだったっけねぇ?ツバキ」
「確か「コーヒーを飲もうとしたけど豆が切れた」じゃなかったかしら?」
「だ、そうだけど?今度は砂糖壷が木っ端微塵にでもなってたのかい?」
言い合ってからハルとツバキは顔を見合わせてクスクスと笑う、それをみていたソラは面白く無さそうにムスッとして言い返す。
「そんなんじゃないしなんで俺が慌ててここにくるとそんなどうでもいいことだと思うんだ!」
「酷いじゃないか、なあ!?ユウ!」とユウに援軍を要請する、本を読んでいたユウはパタンとそれを閉じると静かに、短く、そして攻撃力高めの言葉を吐いた。
「典型的な狼少年だね」
「んなっ!?」
こらえきれずにハルが吹き出す、ツバキも吹き出してこそいないものの笑いの衝動をこらえているのか、肩がプルプルとふるえている。
「そ、それはどうゆう、、、」
「今までそんな大したことないことをさも一大事かのように言い続けてきた、そのツケが回ってきただけだろう、自業自得、因果応報さ」
ハルは笑いすぎて最早呼吸困難の域にまで達していた、ツバキもツバキで肩がふるえすぎて、ふるえているのかふるえていないのか、判別が困難になっていた。
「みんなそういうこという!今回は本当に一大事なんだから!」
「わかったわかった、とりあえず座りな」
「あーおかしい」といいながらイスを勧める、そのイスに掛けながらソラは咳払いなどしていた。
「では発表します」
もっともそうにソラがいうと、すかさず「そういうのいいから」とツッコミが入る。
「えー、仁が後清に宣戦布告したそうです」
「「「そういうことならもっと早く言え!」」」
あまりの理不尽にソラの目には涙が浮かんでいた。
「それで?色々聞きたいことは有るけれど、どうしていきなり宣戦布告なんて」
「詳しくはわからない、けれど裏ではレストニア教が絡んでるって話しだ」
3人が落ち着いてから、4人はテーブルについて話し合いをしていた。
「レストニア教、、、」
「この頃話に上ってくることが多いわね」
「ほら、この前の、、、」そうツバキが言うと、直近でレストニア教絡みの話だとなにがあったか考えていたハルが納得したような顔で「ああ!この前のインド進攻の件ね」と言う。
「裏でレストニア教が絡んでるって事は、どちらがレストニア教側の国か、逆説的に証明されたようなものだね」
ユウがそう言う、誰も言葉には出さなかったが、仁がレストニア教側の国だということは火を見るより明らかだった。
重苦しい空気が漂う、世界全体がピリピリとした緊張感に包まれていた、レストニア教に従う国、そしてレストニア教に反抗する国、双方共に少なくない数が世界に存在していた、新聞も街の人々も何もいわないが、確かに戦争が近いことを肌で感じていた。
「で、、、でだ」
ソラが無理やり空気を変えようと口を開く。
「まぁこんな状況で身一つというのも不安じゃないか、そもそも戦艦と生身で戦ったって勝てるわけがない」
同意を求める、前半はともかく後半は各国がカミナルモノ由来の技術を流用した戦艦群で構成される常備艦隊を設立したということで、現実味を帯びていたので皆同意する。
「そこで俺は考えたわけだ、俺らも戦艦造ればよくね?と」
「は?」
全員が唖然とした顔をする、この男、一体何を言っているのだろうか。
「そもそも法律的に大丈夫なの?」
「法律?日本国が崩壊してからこの日本列島には国すら存在しないのに?」
そう言われユウが渋々席につく。
「でも予算面は、、、」
「その辺はツバキの物質錬成と俺の加工を組み合わせればどうにかなる」
少し心配そうな顔をしながらもツバキも「確かに、、、」とつぶやいている、最早反対する理由はなかった、そんなときに沈黙を保っていたハルが口を開く。
「僕は賛成だ、現在の状況鑑みるに、戦艦は持ってて損はないと思う」
そう言うとユウとツバキも口々に「賛成」と言い始めた。
「よし!じゃあ決定だな!」
ソラが嬉しそうに紙を広げる。
「なんだ?これは」
「とりあえず仮で図面を引いてみた!ソラ式武装配置図だ!」




