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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
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29話「再会の日」

「あー!どうにかなったわね!」

「よかったよかった」

「そう言えば君は、、、」

メガネをかけた男が話しかけてくる。

「あ、ああ、本当に助かったよ、ありが、、、と、、、う、、、」

「そうか、それは、、、よか、、、った、、、」

目の前の3人が目を見開く、おそらくハルも同じ表情をしていたことだろう、そこにはかつてよく見知っていた顔が並んでいた、といっても確証がもてた訳ではないが。

「お、、、まえ、、、ハルか?□□□□か?」

「ああ、おまえは、、、おまえたちは、、、ユウ、ソラ、ツバキ、、、だろう?」

ツバキと呼ばれた女が息をのむ、最後に会ったときよりも幾分大人っぽさをましたその美しい顔は、驚愕の色に染め上げられていた。

「この子、、、本当にハルなの?」

「驚いたな、最後に会ったときと殆ど容姿が変わっていないじゃないか」

「まぁ、いろいろあってね、、、話すと長くなるんだが」

4人で顔を見合わせる、長くつきあってきた感が今の会話だけで話が長くなるということを告げていた。

「、、、とりあえず立ち話もなんだ、せっかく再会したんだしまずはどこか腰を据えて乾杯でもしようじゃないか」ソラがそう言う、それに異を唱える者は居らず、4人はぞろぞろとその路地裏を出た。


「とりあえず、、、そうだな、我々の再会を祝って、カンパーイ!」

「「「カンパーイ!」」」

ソラが乾杯の音頭をとり、そのほかのメンバーがそれに従う。

十数分さまよった結果、彼らはオオサカの繁華街にある酒場の一角に陣取っていた。

大陥没によって政治体制が崩壊し、ほぼ無政府状態になっているとはいえ、かねてより商業の都と呼ばれていたこのオオサカは人がかなり多く、修理、補修がされずにボロボロの状態になっている高層ビルの足元にあるこの酒場も満員となっていた。

「にしても3人とも、よく生きてたな」

ハルが口を開く、最後に会ったのは高校2年の夏休みだから、かれこれ6年ぶりの再会だった、中学校までは同じ学校で、高校からはハルだけ別れたが、それでも時々顔を合わせる仲だった。

「ああ、俺たちちょうど修学旅行で、沖縄に行ってたんだ、それでどうにか難を逃れた」

メガネをかけた男、ソラがそれに答える、フワフワとした黒い癖毛が特徴的な男だ。

「ハルの方はどうだったの?」

隣に座るユウが口を開く、基本無表情で、マイペースな雰囲気を醸し出している、不思議な魅力があるよな、とハルは長年思っていた。

「僕以外全滅、それどころか旧23区は地形ごと消えてる」

「まあ、よく生き残ったわね」

ため息混じりにツバキが感嘆する、記憶では肩まであったはずの黒髪はショートになっていて、それがまた見事に似合っている。

「生き残った、、、そう言えるかもね」

「なんだ、含みのある言い方だな」

「何かあったの?」

(やっぱり言わなきゃならないか)彼は軽く絶望していた、それは恐怖を絶望と誤認していたのかもしれない、当たり前だろう、友人に自身が不老不死の化け物みたいな体になってしまったことをうち明けねばならないのだから。

「あまり大きな声では言えないんだが、、、」

そういうと気になるのかズイッと身を乗り出してくる。

そんな彼らにハルは全てをうち明けた、大陥没の全てを見届けたこと、恐らく始めて魔術を使った者であること、そして、自身が不老不死の体を持つこと、その体を使って凄まじい戦い方をしてきたこと、身を乗り出したまま、興味深げに聞いていた彼らの顔は、一瞬毎に驚きの色を増していった。

「驚いたな、なぁユウ、ツバキ」

「ええ、まさかハルがそんなことになってるなんて、、、」

「なんかアニメの主人公みたいなことになってるね、ハル」

反応は三者三様だった、だが少なくとも引かれたり、距離をおかれそうになっている訳ではなさそうなのでひとまずハルは胸をなで下ろした。

「でも、自分の体が死なない体だからって無茶な戦い方をしてきたのは感心できないな」

ユウがいつもの真顔で言い放つ、その声は心なしか厳しさを含んでいるようだった。

(ああ、こいつらも戦ってきたんだよな)ハルはそう思った、お互い変わった、命に対する考え方も変化したんだろう、両者その方向は真逆だったとしても、それは紛れもない事実だった、そして、多分ユウは例え死ななかったとしても命を、その器たる体を粗末にしてほしくなかったんだろう。

「ハル、あなたがどんな戦い方をしてきたのか、詳しくはわからないそれでも無茶はしないでほしいの、どんなにあっていなくても友達じゃない」

「、、、、わかった」

3人がホッとしたような顔をする、()()、自分のことをそう呼ばれたのはいつぶりだろうか?

自分ではそんなつもりはなくてもそう呼ばれたことがたまらなくうれしかったのかもしれない、ひさしぶりに、それこそ数年ぶりに彼は心からの笑みをこぼした、それは3人が見とれてしまうほど綺麗で、儚いものだった。

「よーし!それじゃあ改めて乾杯だ!マスター!ビール4つ!」

「ちょっとソラ、君、そんなに強いわけじゃないんだからセーブしてよね」

「うるせー!」

そんな会話を聞きながら、ハルとツバキは顔を見合わせてクスクスと笑っていた、その時ツバキの顔が赤かったのは、果たして酔いのせいだったのだろうか?

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