表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
28/83

27話「真実の扉」

「国を捨てた裏切り者!」

「国を守ることさえできない役立たず!」

「お前が死んでしまえば良かったのに!」

「やめてくれ、、、、もう、、、、やめてくれよ!」

チャルカはひたすら叫んでいた、目の前にぼうっと浮かぶ家族の影、それはチャルカを見下ろし、心底失望したような表情をしていた。

「やめる?なぜ止めねばならない?ほら、お前の足元を見ろ、お前が裏切った民がいるぞ」

足を掴まれる、そこには真っ黒な人型の何かが蠢いていた。

「ひっ、、、」

「ヂャルガさまあ“あ“!!!なぜおいていかれだのでずかあ“あ“あ“あ“!!??」

「ヂャルガさまあ“あ“あ“!!!」

「うっ、、、うわあああああああああああああああああ!!!!!!ッ!」

ベッドの上に跳ね起きる、寝間気ははだけ、髪は嫌な汗でべったりと額に張り付いていた。

荒く息をしながら周りを見回す、服を掛けておくためのラック、床においてある靴、木で作られた机とその上にある数冊の本と置物、姿見とその上にかけてある剣、枕元においてあるランプ、そして星空を映す少し小さめの窓、いつもの光景、いつもと変わらないチャルカの私室だ、大きなため息をつく、この所悪夢を見て夜中に目覚める事が多い。

(もう寝るのは無理か)

そう悟ったチャルカはベッドから降り、服を着替えていつもの服装になってから部屋を出る、円形に4つドアが並ぶ私室の入り口前は同じく円形のホールのような場所になっており(ハルは円形ロビーと言っている)、キッチンもここに備え付けてある。

「そう言えばなんで4つ、、、?」

疑問を小さく口にする、それに答えるものはなく、ただ、主を持たぬ2つのドアが沈黙を保つだけだった。

(ハルに聞いてみるか)そう思い艦橋へと足を向ける、ハルは自室ではなく艦橋で夜を明かす事の方が多い、今はどうやら航行中のようだから十中八九艦橋だろう。

艦橋へのはしごを登り艦橋に頭を突っ込む、そこには予想通り操縦桿を握り画面を見つめるハルの横顔があった。

「ハル」

「チャルカ?まだ寝てなかったのかい?」

「いや、寝てたんだけどね、少し目が覚めちゃって」

「この頃多くない?やっぱりトンギでの一件が関係してるのかしら?」心配そうなハルの横に腰掛ける、ミライは雲の上をゆっくりと航行している。

「なんか水上船みたいだな」

「そうだね、一面雲だし特にね」

なんともない会話をしながらチャルカは疑問を切り出すタイミングを伺っていた。

「そう言えばハル」

「ん?」

「少し聞きたい事が有るんだ」

「?なんだい?」

「この船には俺とハルの2人しかいないよな?もっといってしまえば俺を拾う前まではハル1人しか乗っていなかった訳だ」

「うん」

「だが艦橋の席も部屋の数もロビーの椅子の数も、さらにはキッチンのマグカップの数にいたるまで4人分用意されている、なぜだ?俺よりも前にこの艦にはハル以外の誰か乗っていたのか?」

その疑問にハルは即答しなかった。

回答すべきかしないべきか、するとしたらどう回答すべきか、しないとしたらどうはぐらかすべきか、そう言った事を含めて逡巡しているようにも見えた、一瞬の間の後、ハルは口を開いた。

「それは、、、それはこのミライ建造の時代まで遡らなくてはならない」

「ミライ建造?」

「そう、いまから約140年前、僕も確かに建造に関わりはしたがその他に3人の人間がこのミライを建造した、ソラ、ユウと言う名の2人の男とツバキと言う名の女だ」

これはミライ建造秘話、ハルの語る昔話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ