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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
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25話「恋と修羅」

「ここは、、、?」

「よかった、どうやら合っていたようだ」

すぐ真横でハルが安心したような声を出す。

つい一瞬前まで確かに街の街道にいたはずなのに彼らは建物の中に立っていた。

黄色を基調とした室内は広く、高い位置に設置された窓から紫色の光が差し込み薄暗い、大きな扉が目の前に有る辺りここは玄関ホールに当たる場所なのだろうか?全体的に派手な訳では無いが特有の華やかさを感じられる室内だった。

こんな事情でここに来てるのでなければいつまでも居たいほどなんだが、チャルカはそう思って周りを見回す。

「なぁ、今の瞬間移動か?」

「うーん、、、少し違うかな、説明が難しいんだけどまぁ、、、場面転換とでも言うかな」

「場面転換?」

チャルカにはどうしてもハルが「場面転換」と言った意味がわからなかった。

「まぁ要は自分達でなくて周りを変えたんだ、さっき夢と現実が曖昧になってると言ったろう?ならばできるはずだと思ってね」

「つまりこの場所がこっちに向かってきたってことか?」

()()()()()、という方が正確かな、確証がもてた訳ではなかったから」そう言いながらハルは大きな扉の方にコツコツと歩き出していた、見上げるほど高いその扉の向こうからは街で感じた魔力が街よりも色濃く染み出していた。

扉の取っ手に手をかけながらハルが後ろを向く。

「チャルカ、我々が気付いている事をここの主たる相手が知っていないとは考えにくい、恐らく相手も場面転換を使ってくるだろう、予想される目的は2つ、1に相手から我々を離すこと、2に我々をバラバラにすること、そうなったとき慌ててはならない、相手の所に行くということを強く念じるんだ、そうすれば場面転換を使えるようになるはずだ」

「あぁ、わかった」ゆっくりと頷きながら扉を見つめる、ハルの手に力が入り、ゆっくりと扉が開く。


「アラァ、、、来タノォ、、、」

玉座らしきところに座る女が不機嫌そうに呟く。

扉を開いたその先には絢爛豪華な玉座が据え付けられており、玄関ホールと同じく薄暗い室内は非常に埃っぽい。

そして女は人の形こそすれ、最早人間とは言えなかった、真っ白な長い髪に妖しく光る赤い瞳、そこから発される魔力は間違いなくカミナルモノの物だ。

「マルジャーナ姫、おいたわしい物です、あなたは聡明なお方だと思ってましたが」

「アナタ、、、ドコカデアッタカシラァ、、、?」

「ええ、何度か」

「ソウ、デモベツニオモイダセナクテモカマワナイワ、ダッテワタシ、アナタニ興味ナイモノ」

「私だけでなく周りの人間に興味を失った結果、親殺しという罪と人間をやめるという呪いに行き着いた訳ですか」

その時、チャルカはようやく彼女の足元に転がっているのが人の死体で、さっきからこの部屋に充満しているのは血の匂いで有ることがわかった。

怒りがフツフツと沸いてきて特異魔術で拳銃を出したところをハルに手で制される。

「エエ、ワタシニハアノオ方サエイレバイイノヨ、、、」

「その「あのお方」の手引きで人間を辞められたので?」

「エエ、コノ体ニナッテカラ、アノ人ハモットワタシヲ愛シテクレタ、、、」

「、、、哀れな物ですマルジャーナ姫、あなたはその「あのお方」に利用されていたに過ぎない」

「ナンデスッテ!?」

「本当に愛しているならあなたをまず人外になんてしなかったでしょう、マルジャーナ姫、あなたはいいように使われていただけなんですよ」

「、、、ルサイ、、、ウルサイ、、、ウルサイ!ウルサイウルサイウルサイウルサイ!!!!!!アノ人ガワタシヲソンナフウニ思ッテル筈ガナイ!アノ人ハワタシヲ愛シテクレタ!!!」

「そもそもその認識が間違いなのですよ」

「黙レ黙レ黙レ黙レ!!!!!!アノ人トワタシノ愛ヲ引キ裂ク奴ナンテ嫌イダ!出テイケ、!出テイケーーーー!!!!!!」

ハルの予想通り、「マルジャーナ姫」は場面転換を繰り出してきた。



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