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残響 廻る糸車編  作者: 馬鈴薯
19/83

18話「航路」

「これを見てくれ」

ミライに戻り、艦内の少し大きめの部屋に2人は居た、2人の前のテーブルには大きな世界地図が広げられている、ハルはその中の大きな大陸の西南の端、2つの大きな湖に挟まれた巨大な半島の付け根辺りを指差して言った。

「ここが今僕たちの居るアララト山だ、そして今の所の目的地、タイジョンはここ」

指が動き、今度は限り無く極東に近い1つの島を指差した。

「そして我々は東廻りでここに向かう予定なんだが1つ障壁が有ってね」

今度はさっきのタイジョンよりも少し西寄りの尖った半島のような所を指差す。

「ここにはシヴァという国が有る、そしてこの国は軍事大国なんだが厄介なことにレストニア教側の国でね、ここを越えるのが大変なんだ」

「なぁ、1ついいか?」

「なに?」

チャルカは地図の反対側、西の大陸の方を指差す。

「ずっと西の方に行って太平洋?ってのを越えて行く方が良いんじゃないか?」

「あー、実はこの大陸は大陸全体がレストニア教側で東廻り航路よりもレストニア教勢力のエリアを通る時間が長いんだ、それに、このシヴァの少し東にトンギという小国があるんだが、そこでなにやら異変が起きているらしいのでそれを調査してほしいとリリーに頼まれてね」

なるほど、そういう事情があったのかと納得する、同時に気になることもある。

「そのトンギで起きている異変ってのはどんなのなんだ?」

「んー、魔術を使ってないのに物理法則を無視した事が起きる、、、らしい、調査に向かったガーディアンズメンバーの話で僕が直接体験した訳じゃないからよくわかんないけど」

魔術を使ってないのに物理法則を無視した事が起きる、少なくともチャルカはそんな話は聞いたことが無かった、そしてそれはハルも同様なようだった、ひどく困惑しながら首を傾げている。

(まぁハルにわからないなら俺にもわからないか)

呑気にそんなことを考えながらマグの中の紅茶を啜る、ナワリンの市で購入したもので、紅茶を淹れる事はハルにとっての唯一の道楽であった、それだけあってその紅茶はチャルカが今までに飲んだどんなものよりもおいしく感じるのだった。

「そういえばアレクたちは?」

「アレクとリオはもうタイジョンに着いてるんじゃない?北極圏経由でタイジョンに向かってるらしいから、リリーたちはそろそろナワリンをでる頃だと思う、ルートは恐らくアレクとリオと同じだろう」

「なるほど」

「、、、チャルカ、そろそろ寝よう、夜も遅いし特異魔術を使ったんだ、疲れてるだろう、それに明日は様子を見ながらシヴァに侵入する、場合によっては艦隊戦も予想される、休めるうちに休んでおきな」

チャルカは静かに頷いて自室に引き上げて行った。

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