鶯
儀文めいた心地のように
外へ向ける形を作り
それをまた、上手く使うことが
頭の良さということに繋がろうとも
善人という形に繋がるかは
分からないものである
雪ではなく雷であり
実に春の装いと云うにふさわしい
この温かさを感じることが
一番良いことである
鶯が鳴いている
音だけは美しく
窓を貫通してやってくるが
あの個体を見て
汚いと云う感想を持つ者も居る
想定していたものと
全く違っていたからだろう
それを悪いことだとは言わないし
そのまま在れば良いだけである
諫めることはない
諫めるならば
同じになるからである
鶯が枝から枝へ飛び移る
可愛らしい頭を
たまに左右に振っている
電柱の上から烏が鳴くと
直ぐに飛び立った
上下しながら飛んでいく
遠くまで眺めれば
既に葉桜になりかけている桜
ピンク色と黄緑色が混ざり
柔らかな色合いが
甘さを落としてくる
仏壇にあげた饅頭を思い出し
線香を立て
手を合わせた後に下げた
賞味期限を確認すると
一日ほど過ぎている
昨日、忘れていたのだ
大丈夫と言いながら
緑茶と共に味わう
気にしていないのではなく
気にしているから喰らうのだ
大切な物であるように
振る舞えてこそ
存在には意味があるのだ