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主人公B組視点第二話 ちょっと待ってこれ以外と揺れて、おrrrr by滝川 佐奈 

6月9日 午前10時 名古屋市 


狐と共に食事を終え、出かける準備をしていた美汐はふと、1つ聞いてない事があったと思い出し、道場の隅で壁の武具を眺めている狐に対して問いかける。


「そういえば、名前を聞いてなかったな。なんと呼べばいい?」


こんな事を忘れていたなんて、自分は目を覚ましてくれた事とこの子の境遇に対して少々興奮していたようだ。冷静になって自分を客観視してみると肩を怒らせて今にも、戦いに飛び出しかねない自分がそこにはいた。


落ち着きを取り戻すため、深呼吸をしながら返事を待つ。


「滝川 佐奈って言います。お母さんからは佐奈って呼ばれてました」


「佐奈か、わかった。私は長野 美汐という、よろしく頼む」


どうやら佐奈というらしい。名前がわかったところで佐奈に聞かなければならない事があった。


「佐奈、私は今から買い物に出ていくがどうする?外が怖かったら残ってもいいが」


昨日、倒れるまで追っ手に追われていた佐奈を外に連れ出すのは酷だろうと思い声をかける。まだ追手がいるかもしれないが私がいれば対処は可能だろう。


「……行きます。一人は嫌です」


「わかった、一緒に行こう。」


佐奈を連れていくことが決定した。そうなると、佐奈を隠すためのカバンがいるだろうか、元々人間だったとはいえ狐を連れて電車に乗るわけにはいかないだろう。


確か自宅に使ってないエナメルバッグがあった事を思い出す。


「佐奈少し待っててくれ、流石に狐はそのまま電車には乗れない。」


佐奈に声をかけ、一度道場を後にする。隣接する自宅に戻りエナメルバッグを探しあて、道場に戻る。佐奈の側に置くとサイズはちょうどいいかもしれない


「少し狭いかもしれないが、電車の中では入っててくれ。それ以外だったら外に出ててもいい」


「中にいたほうが楽ちんそうです。重くないですよね?」


「軽いさ、何ならダンベル入れといてもいい」


そんなジョークを交えながら準備を進め、最後に追っ手の対策に移る。佐奈の話では複数人の大人との事だ、素手でも相手どれないことは無いし、

流石に人通りの多い場所で襲ってくることは無いだろうが、念の為に護身具がいるだろう。そう思い、壁に掛けてある樫の棒を外し自作の竹刀袋に入れ背負う。


「準備できたが、行けるか?佐奈」


「はい大丈夫です。」


佐奈が入ったカバンを肩にかけ美汐は道場を出発した。




6月9日午前11時 名古屋市 大須


どうやら、カバンの中は意外と居心地が悪いらしい。途中、振動で酔った佐奈を介抱しつつ名古屋市の中央区域に到着した。


「ふわぁ…人がいっぱいです」


カバンの中は嫌だといって、美汐の頭の上に乗った佐奈が、感嘆の声を漏らす。初めて見たのだろうか、きょろきょろと周りを見渡している


「ここは特に人が多い所だからな、実は私はあまり得意ではない」


苦笑しながら、佐奈に返す。大須は商店街という狭い範囲に多くの人が集まる。普段、人とあまり関わらない美汐としては用事が無い限り近寄らない場所だったりする。


もっとも、その用事の為に月一で訪れてたりするが。


「そういえば、何を買うんですか?」


頭の上で佐奈が聞く。佐奈からしてみればこんな時に何を買うのか気になるだろう。


「とりあえず、佐奈の生活環境を整えないといけないからな」


犬ならば普通のペットショップでもなんとかなるだろうが、狐だ。さらに元々人間だ、普通のペットショップで相談しては、どうにもならないだろう。

しかし、大須は他では見ない物も売っている町だ、他にはなくても此処ならどうにかなる。


スマホを取り出し、売っていそうな場所を探す。近場に数件あったので一つずつ探していくとしよう




6月9日午前11時30分 名古屋市 大須


ショップに入り店員を探す。こういう場所に来るのは初めての為、勝手がわからないが周囲の邪魔にならなければ大丈夫だろう。


「意外にいろいろあるな。」


「ですねー」


そんな風に、ペットのグッズを調べていると、大学で見かけた人影を見つけた。ここでバイトしているのだろうか、エプロンを付けて忙しそうに品物を補充している。


「すまない、相談があるんだが」


バイトの店員に声をかけると、こちらに気付いた店員が早足で近づいてきた。店員は頭の上の狐に驚きながらも笑顔を作り接客を始める。


「お待たせしました、どのようなご用件でしょうか?」


「この子の寝床にちょうどいいものは無いかと思ってな、何かいいものはあるか?」


「狐ですか。イヌ科なのでそちらに行きましょう。」


どうやら、案内してくれるらしい。イヌ用のコーナーに到着しいろいろと説明を受けていた時、その店員は美汐の指輪に気が付いた。そして何やら興味がある様子で話しかける。


「それって、能力者の指輪ですか?珍しいですね青い指輪だなんて」


「珍しいだろう、私もあまり知らないんだ。何か特別なのかもしれないが、良く解らん」


「そうですか、いいなぁ。私も欲しいです」


そんな風に店員と話していた所ショップに呼び出しの放送が鳴った。どうやら呼び出されたらしい店員は急ぎその場を離れた。


そんな店員を見送った後、佐奈の寝床などを買いショップを後にした。


尚、買った寝床は、散策中に見つけたネコ用のカーテンがつけられるものであった。


B組視点開始です。時間帯は入院した葵が目を覚ましたあたりです。

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