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主人公A組視点第七話 今日で三日連続で葵ちゃんと夕飯食べれてない by結城 つかさ

6月9日 午後16時 名古屋市 警察署 尋問室


静寂が尋問室に響き渡る、尋問室には日高葵 結城つかさ 大田原元春の三人が机に向かっていた。結城つかさと大田原元春は現実から目をそらすように頭を抱え悩ましい表情を作り上げた

残る日高葵は二人の表情から、マズい状況なんだとなんとなく理解した。


「とりあえず、理解してなさそうな葵ちゃんに説明するよ」


大田原が口を開く。葵からしたら説明はありがたかったので黙ってうなずく。大田原は写真を指差しながら写真の女の子について説明を始めた。


「まずね、この子、滝川 瀬奈て言うんだけどね、この子が葵ちゃんを吹っ飛ばすって事は普通はできないんだ」


「まぁ、普通は小学生にあんな力は出せませんよ。でも能力者なんだから出来ない事は無いですよね?」


「それがねぇ…」


ここで大田原は言い淀む、そこでつかさが代わりに言い聞かせるように話を繋げる


「葵ちゃん、滝川 瀬奈ちゃんは戦闘能力者じゃないの」


「戦闘能力者に認定されてないんですか!?アレで?」


「違うの、この子の能力は一度聞いた音を再生する能力なの。どう使ったとしてもあんなパワーは出せないのよ」


葵はよく解らないといった表情でつかさの方を見ている。つかさと大田原からしてもこの状況は意味不明だ。葵は何とか現実に則する様に頭を働かせ、一つの回答を思いついた。


「推理小説とかみたいに、実は双子だったとかありません?」


「瀬奈ちゃんには確かに双子の妹がいる「じゃあ、その妹の方ですよ私が見たのは」葵ちゃん少し話を聞こうね」


自身の予想が合っていたかの様に、食い付いてきた葵に。つかさは笑顔で苦言を入れる。どうやら調子が戻ってきたらしい。


「妹の佐奈ちゃんの写真はこれだから確認して。」


ずっと黙っていた大田原が女の子の写真を書類から取り出す、先ほどの瀬奈の写真に比べると目つきが鋭く活発な印象を持つ見た目の少女だ


葵は二枚の写真を見比べて、本当に双子か?という割と失礼な疑問を覚える程似ていない。


「双子なんですよね?この子達」


「まぁ、双子で男女よりかは見た目は近いでしょ。二卵性の双子だよ」


同性の双子でも見た目がそっくりとは限らない、二卵性の双子ならば見た目が違うこともあり得る。ここまで来て葵はやはり自分が見たのは瀬奈の方だと受け入れた。


「瀬奈ちゃんだとしたら、何だったんです?あの怪力」


ここで再び葵が吹っ飛ばされた事件がネックになる。小学生にあんな怪力だせる訳が無く、かといって能力で出すことも不可能となった。ここで大田原は自身の予想を広げた


「実は、瀬奈ちゃんと佐奈ちゃんの母親はとある大学で能力者の研究をしててね、その滝川博士と瀬奈ちゃん佐奈ちゃんの一家がそろって2月前から行方不明なんだわ。

で、母親である滝川博士の研究が[能力の発生と再現]なのね、もしその研究の成果の一つが瀬奈ちゃんの場合ならありえない事も無いかなぁ、なんて考えてたり」


大田原の予想は行方不明の滝川博士が自身の研究で滝川 瀬奈を戦闘能力者に変えたという物である。この予想に葵は疑問を入れた。


「大田原さん、滝川博士の研究って失踪して4か月で実戦投入できるぐらい、進んでたんですか?」


「そんな話は聞かないわね」


葵の疑問につかさが答える。もし能力者を量産できる理論が確立していたならば大々的に発表され、世界中でニュースになっていたはずである。

それが無いという事は、研究が進んでいないという事であった。


「まぁ、博士の研究について大学に問い合わせてる所だからわからないけど、仮にそうだとしても自分の娘を研究材料にする人かどうかは疑問が残るよねぇ」


滝川一家の書類を見ながら大田原が答える。書類には、滝川一家の家族中は良好で、姉である滝川 瀬奈はおとなしい子供で、よく本を読んで一日を潰していたらしい。

母親である、滝川 こずえはシングルマザーだが研究の合間にも家に帰り娘達と食事を共にするなどコミュニケーションを重視していたようだ。


「そもそも、何で強盗なんでしょう?」


疲れてきたらしい表情で葵は話す。実験だとしても強盗など行えば、社会に認められる可能性は低くなる。


「さあね、現状の情報で分かることは、これぐらいだろうねぇ」

「そんじゃ、今日はこの辺にしとこうか。葵ちゃんも疲れてきてるみたいだし」


そういって大田原は席を立つ。尋問室から大田原が出て行ったあと、つかさは葵に対して今日は忙しくなりそうと漏らす。

葵は、「最近は毎日忙しそう」と言おうとしたが、以前そういっていきなり抱きしめられたので言うのを辞めた。


「葵ちゃん、今日は一人で夕飯食べてて」


「了解でーす。帰りだけは送ってくださーい」


そんな、やり取りの後、葵はつかさに送られ自分の部屋へと帰宅した。




自分の部屋に帰宅後ベッドに寝っ転がりながらSNSを起動する。もしかしたら能力者を量産させる方法が上がってるかもしれないからだ。

もっとも、そんな方法は全て嘘だと切り捨てられる情報だが。


そんな中、多くの人が同じ情報を投稿していた。なんでも、青い指輪を持った能力者から青い指輪を奪うことが出来ると能力者になれるらしい。


デマだろうがここまで多くの人が投稿しているのを見ると一種の都市伝説になっている。


葵はこの一連の投稿を見て、もしかしたら滝川 瀬奈もこの指輪を入手したのかな?などと思いながら時間を潰していると、つかさからメッセージが届いた


内容は、業務連絡のようで、どうやら明日の午前10時から現場検収を行うので来てほしいとの事だ。突如、明日の予定が入った葵は急ぎ寝る準備を整えて就寝した。





6月10日午前10時 名古屋市中区宝飾店前


葵は、現場検収の為、事件の起きた宝飾店前の道で吹っ飛ばされた時のポーズをとったり、自分が奇襲を行った際に隠れた位置を説明していた所、ふと自分に向けられている視線に気が付いた。


視線の先を見てみると、どうやら女性のようだ。


「っ!」葵は視線の主の招待に気付いた、その主は自身の知り合いであり、顔を合わせづらい相手でもあった。その相手はこちらにゆっくりと近づいてきて


「ようやく、見つけた。ちょっと相談に乗ってくれないか?」なぜか頭に狐を乗せた知り合いは葵に向かって挨拶もせずそう告げた。


ようやく、主人公A組視点がひと段落つきました。次から主人公B組視点です。

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