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主人公A組視点 第五話 入院セット誰が持ってきてくれたんだろう? by日高 葵

6月9日 午前11時 名古屋市 大学病院


「知らない、天井だ」


何処かの人間不信な主人公のような事を口に出しながら目を覚ます。見たところ病院のようだ。自分はベッドに寝ていて頭に何かを測定する機械がつけられている。


首を動かし周りを窺うと脳波を図っているであろう機械が目に入った。


「っ!痛!」


起き上がろうとすると、背中に痛みが走り諦めてベッドに横になる。寝ぼけた頭で何が起きたかを思い出す。


「私、負けたの?」


痛みと何が起きたのか記憶が戻ってくる。連続強盗事件に出くわした事、犯人と戦闘になった事、自分が負けた事


そんな認めたくない記憶を思い出すと共に自分を負かした相手の顔を思い出す。


雨合羽からうっすらと見えた相手の顔はどう考えても自分より年下で


「子供だよね?あの子」


何故、子供が強盗集団に協力しているかわからない、それに過去の事件で犯人に子供が混じっていたなんて証言は無い


この情報は報告しなきゃ、なんてベッドに寝ながら考えていると、突如、病室のドアが音もなく開かれた。


「葵ちゃん、良かった、起きたのね」


聞き馴染んだ声が聞こえ、そちらのほうに顔を向ける。体は痛むが、自分の担当だせめて顔を向けねばならないだろう。


「葵ちゃん、待ってて。今先生を呼んでくるから」


そんな風につかさは慌ただしく部屋から出ていき、残された葵は体の痛みに顔をしかめた。




「検査でもわかっていたけど、頑丈だね。普通骨折の1つはするよ」


そんな医師の呆れたような声が聞こえる。先生の話では、この病院に搬入されて直ぐに全身の検査が行われたらしい。検査結果は全身の打ち身との事だ

寝ている間に着替えさせられた事に羞恥を覚えるが、雨の中倒れたのだ全身濡れていただろう。そんな自分を受け入れてくれた病院には感謝しかない。


「葵ちゃんの能力って衝撃吸収能力があるんですよね」


「そうなんですか?」


自分よりも能力の分析が進んでる担当に問いかけると。衝撃吸収能力が無いと、私は自分の加速でミンチになっているらしい。


(そんなヤバイ事を今までやってたのか、そういえば初めて見せた時本気で心配されたわ。)


顔を引きつらせ、前に病院で精密検査された時の事を思い出す。2週間前の事だがつかさから本気で怒られた。その時の経験から予想すると、この後には間違いなくお説教だろう。


なにせ、元々指示されていたことは自分の安全確保の後に状況の報告だ。指示を無視して戦闘に入りさらに負けて緊急搬送など許されるわけがない


「さて、葵ちゃん。病室に戻ったらお説教です。覚悟しておくように」


「わかりました。」


自分が悪いのだから仕方ないと葵は返事した。





1時間に及ぶ説教を受け、正座した足のしびれと体中の痛みがいい具合に混じりあった所で、今度は実際に相手と戦闘して知った事の報告である。


「さて、足がしびれてる所でしょうが報告をお願いします。」


「つかささん、体中と足がやばいです。」


「報告をお願いします。」


少し休ませてほしいと暗に伝えるがこの担当は容赦なく報告を要求してくる。短い間に何度も怒られてきたが今回は特別怒っているようだ。


休憩を諦めて報告の為に話し出す


「まず、今回の犯人は4人でした。1人がナイフを持っていて他の2人は武器は無し、男性2人女性2人の組み合わせで女性は片方かなり小柄でした、能力者は女性のうち小柄の人物が恐らく身体能力の強化です。」


「こちらに来ている証言と一致するわね。他には?」


やはり、この程度の報告は人質にされた店員からの報告で知られているのだろう。自分を正面から負かした能力者について報告する。


「自分を吹っ飛ばした能力者なんですが、気を失う前に顔が見えまして。」


「どんな顔?似顔絵捜査官の派遣いる?」


「正直、一般に開放するのはやめたほうがいいと思います」


こんな情報が一般に開放されることは無いだろうと思いつつも過去の自分を思い出し釘を刺す。


「子供でした。それも小学生高学年くらいの女の子」


「子供!!」


何を考えてるのかよくわからない顔だったつかさの表情が驚愕に崩れる。(そりゃ小学生がこんな事起こしたなんて信じられないよね)


そんな事を思いながら、つかさの顔を見る。一度驚愕したその顔は、今は、何か思い当たることがあるような思案したような表情をとっている。


「つかささん、心当たりがあるんですか?」


つかさに問いかけると、一度病室のドアに向かいカギを締めこちらに戻ってくる。そしてカバンから資料を取り出し一枚の写真をこちらに向ける。


その写真を見た時、今度は私が驚愕した。


「つかささん、なんでその写真持ってるんですか?」


「防犯カメラに写ってた女の子の特定されたの、葵ちゃん本当にこの子なのね?」


つかさから念を押すように聞かれる、しかし何度見てもあの夜に見た顔はこの写真の通りだ。


「はい、間違いありません。」そう確信をもって返事をする。


「わかりました、この情報は一度署に持ち帰ります。他言無用でお願いします。」


そう言い聞かすように話し、つかさは急ぎ部屋から出て行った


そんなつかさを見送り、葵は再びベッドに寝ころび痛みを癒すために目を閉じた。

更新です、つかさに関してはあれです、本人の前では真面目ですのでキャラは崩壊してません(震え声)

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