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作戦会議


「“豚獣人オーク”出現の知らせを受け調査をおこなった結果、東部のモンスター避けトーテムポールが破壊されておった、周辺には大型のひづめ跡多数、間違いなく奴らの狙いはこの村じゃ!ここに集まって貰った皆には本作戦の要、襲撃ポイント最有力地の水田・畑がある農作地における、待ち伏せ及び奴らの撃退を頼みたい!」



 ボードを叩き講釈たれる支部長。またか、メロは昨日ぶりの招集に辟易へきえきしていた。場所はギルド内会議室、メロ、ナナ、シロエ含め十名程度の冒険者が集められていた。時刻は昼時、ランチ前に呼び出され食べそびれている昼ご飯、注文は済んでいた、待つだけだった。クマミツたっぷりあまあま甘味を味わうはずだったのに。


 舌打ちをする音が三つ重なる。音源は言わずもがなの三人だ。ナナとシロエは態度も仕草も苛立ちを隠すつもりが微塵も感じられない、大股を開き足をゆすり、頬杖をつき半開きの口は歪み細められた目は鋭く支部長を射抜いていた。ヤンキーでもここまでわかりやすい喧嘩を売りはしないだろう。それだけ食事のお預けが二人にとってはご立腹案件だったということだ。だが話は聞くつもりはあるらしく席を立つ様子はない。



「周辺の索敵及び侵入した下級モンスター撃退、村の警護等必要な人員はすでに手配済みだ、雑事に気取られず全力で当たって欲しい、諸君は村屈指の実力ある冒険者だ、絶対の成功を信じとるぞ!」



「おー!」支部長の激に呼応する冒険者たち、金にはがめついが、仕事が早く外面はいい、悪人と断言出来る程の性格はしていない、聖人君子とはとても言えないが。普段は面倒ごとばかり押し付けるが、いざって場面では陣頭指揮を振う。だから嫌いにはなりきれない、他の冒険者同様、無条件の信頼はできないが。改めて支部長に対する思いを振り返るメロ、ボルテージ上がる室内で支部長は演説を続ける。



「作戦もある!討伐対象は“豚獣人”だ!モニカの“バフめし”の出番じゃ!餌におびき寄せ弱体を待ち仕掛ける、奴らの総数は10~20程度と斥候より情報が入っておる、弱体化した“豚獣人”など諸君の足元にも及ばんだろう!我々に敗北はない!さらに朗報もある!“火蜥蜴”の群れの殲滅、“養クマ場”のクイーンと契約と、村を悩ませていた悩みの種を辣腕を振るいあっさり解決した方々の助力もある!」



 最後列に陣取る態度の悪いナナ達に注目が向く。作戦を前に己の闘気を隠しきれていない勇姿と勘違いし更なるボルテージの高鳴りに満ちる室内。


 口車と信頼から生まれた士気の高さ、戦闘は前準備から始まっている、その点を熟知した作戦会議だ。大金を渡してきた理由はこれね、狡猾なジジイ。ナナは先ほどの会合からの短時間でこの絵を描いた支部長にそこそこ感心した。口の達者な無能より、腹黒いやり手のが実戦には必要な人材だ。ここは、のっといてあげましょうか、手を上げ熱気に答えるナナ。更なる熱気に満ちる、士気は十全だろう。



「支部長!“バフめし”の到着です!」

「おお!待ちかねたぞ!皆!“バフめし”の到着だ!準備は整ったぞ!」



 狩人風の男がバケットを二かご掲げ入室してくる。“バフめし”の到着ね。実はモニカの“デバフめし”をくだんの火蜥蜴クエスト出発前に食していたナナ、効能は体験済みだった。それゆえの真の“バフめし”への理解度の高さもあったのだ。



「こちらが真さんの“バフめし”です、私も頂きましたが肉体強化のバフがかかります!」



 掲げたバゲットの一つのフキンを外し支部長に献上する冒険者。今更だけど真、いなかったわね、あの店で一緒に調理してたのかしら、修羅場になってなければいいけど。昼食をとれなかった苛立ちで頭が支配されており真不在を気にしていなかったナナは心配も僅かに到着した昼食に目を奪われた。



「皆!くだんのクイーン契約者、真殿からの支援じゃ!存分に食し、作戦成功の力と変えて励んでほしい!」



 配られたおにぎりはとても美味しかった。さすが真、手早く作っただろうに心がこもっている、冷めているのにあったかいおにぎりだった。そしてかかるバフと共に士気もそのまま冒険者達は決戦の地へと向かうのだった。


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