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黒衣の奇術師、メロ・フローその2


「失礼、勝手に殺さないでもらえるかしら、支部長さん」



 ドアを壊れる勢いで開け、小柄なビキニアーマー少女が派手な登場をする。その背後にはお供が二人、フルプレートアーマで頭部以外を固める長身の女性、赤褐色のエプロンアーマーを纏うモブ顔の男性。威勢のいい少女は一見すると二人の子供にも見えるがお供の年齢的にあり得ないか。ま、見た目なんて誤魔化しは、いくらでもきくけど。


 平常運転の思考をするメロをしり目に明らかに動揺する支部長。



「は!っば、バカな!なぜ生きているんだ!男一人増えとるし…、さ、さては依頼放棄か!上級冒険者とはいえ女二人じゃ洞窟にたどり着けなかったということか、違約金がわりの労働力でその男を差し出すというんだな!」



 一気にまくし立てる支部長、プルプル震え紅潮した表情、唾を飛ばし怒鳴る。横に立つ者のことも考えてほしい、おかげで外套が汚れた、洗濯しなきゃ。メロには他人事であった。



「いいえ、違うわ。クエスト達成の報告に来たらなんでか私たちが死んだことにされてたから化けて出てあげたのよ」



 そう言い放つと少女はおもむろにパンツに手を入れごそごそ、突然の奇行に場の空気が固まる、「あ、あったわ」、でるわでるわ、物言わぬ火蜥蜴が小山を作る。



「何が言いたいか分かる?支部長さん?」

「う、うむ、依頼達成感謝する、特別に討伐報酬も上乗せしようではないか!」

「そうじゃないでしょ支部長さん、これのどこが採集クエストなの?下手したら死んでてもおかしくないわよね、その程度の誠意で足りるのかしら?」



「もっといたわよ」、支部長に啖呵たんかを切る少女、いいぞもっとやれ!悪行を暴いて退職させろ!内心応援するメロ。



「そ、そうは言うてもの、そんなに数がいるとはこちらでも把握できとらんかったんじゃ、どうか勘弁してくれんかの?」



 なにかよわい老人風の演技してんだ強欲ジジイ、痴女、騙されないでよ。


 メロの反応でわかるが、この世界でもビキニアーマーは一般的ではない、ましてや冒険に使う防具ではない、宴会道具がいいところなのであった。


 第三者目線で事のなり行きを眺めるメロは思う。それにしてもあの機能はすごい、空間魔法の使い手がやることと同じ効果がありそうだ、自分では着たくないけど。



「それはおかしいんじゃないかしら?確か明日がクエストの期限だったわよね。ご丁寧にこんな作戦会議しちゃってせめて期日過ぎるまで待てなかったの、嘘が下手ね」

「そ、それは…、ぐぬぬぬ…」



 苦虫を噛み潰した顔という奴だろう、「ぐぬぬぬ」なんて言葉実際に吐いているのだから。酷い顔だ、もう詭弁を使えないならこの舌戦は終わりかな。



「そんな顔しないで支部長さん、何もあなたを脅したりゆすりに来たわけじゃないの、最初に言ったわよね?誠意を見せてほしいって、この意味わかる?」

「…、い、いくら欲しいんだ?言ってくれ、君らの望みは私のできる限りで答えよう、だから中央にはこの件、口を閉ざしてもらえんか?」

「物わかりいいじゃない、そうね、とりあえず、この村で一番いい宿で部屋とって貰える、しばらく滞在するから。あと村でお金使うときは支部長ツケにするから支払いよろしく」



「後でクエスト報酬貰いに行くから色着けときなさい」、言いたい放題した少女は、場の空気など鑑みず仲間たちと立ち去る、「お腹減ったね~」「そうね、なんか食べましょう」、男のみはこちらを気の毒そうに見やっていたが数歩遅れて少女たちの後を追っていった。


 冒険者は自由であるべきだ。誰が言った言葉かはわからないが、この場にいる誰よりもある意味彼女たちは冒険者しかりとしているだろう。ちょっと気持ちがスカッとしているメロに支部長が小声で話しかける。



「メロ君、頼みがあるんだが、あの冒険者たちが村に滞在する間、同行して様子を見といてくれんか?この場の者をごまかしたり中央に連絡入れたり事後処理で手が回らん、わしの地位が危うい、どうか協力を頼む」

「え~、嫌ですよ、支部長がクビになった方があたしも都合いいんですよ、これを機にあたしも村出て旅に出ようかな~」

「え、っちょ、メロ君、君、わしに恩とか着とらんの、借金とかもろもろ貸しがあるんじゃが!」

「あたしの作ったアイテム売ってとっくにもとで以上に稼いでるの知ってますよ、まあ、手切れとしてその頼みは聞いてあげますよ」



「ではでは~」、メロが手を振り支部長に別れを告げ会議室を出る。背後からは支部長の弁明の言葉が聞こえる、なんでかあの人、村人に信頼されてるから今回の騒動もなんだかんだ誤魔化しちゃうんだろうな。とにかくあの冒険者さんたちを追いかけますか。メロの足取りは軽やかだった。


投稿ペース変更のお知らせです。


週3回更新ほどになるかと。

具体的には、


月~金で2話

土・日で1話


作者の筆の進みにより増減があると思いますがご了承ください。

その代わりといってはあれですが、文章量は多めの投稿をしていきます。


明日も投稿するのでお時間がありましたら覗いていただければ幸いです。


ではでは~

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