お外でごはん~火蜥蜴のお肉その3~
ナナは肉の焼き加減を確認している。手、足、頭、取り除かれ残るは取っ手代わりの尻尾つき胴体、赤い鱗がオシャレな串、肉付きの良い漫画肉である。食欲をそそる香ばしいさと桜色の見た目の火が通っていない肉、しかし焼けたお肉のいい匂い、どんな肉質ならこんな焼き具合になるのだろう、食べてみたい。
真は口端から垂れそうになる涎を拭い、手をのばす。「その肉からもらえる?」「はいはい、よく焼けてるし食べごろよ」、手渡される鱗に覆われた尻尾は固く芯が通っており、火だね付近で加熱しているのに熱がこもっていない、耐熱性に優れているのだろうか。そんな考察より、まずは一口、大口を開けてかぶりつく、柔らかな肉質、唇でも千切れるほどだ、大胆に食い跡を残し咀嚼する。
味付けはシンプル、塩のみだろう。素材の味を引き出すいい塩梅、外で食べる雰囲気に自然の空気、素材のうまみを引き出す好条件だ、気分も上がる。なにより触感に肉の味わいが素晴らしい、歯を唇をつけた時にわかったが、柔らかくほのかな弾力性のある肉質、簡単に噛み千切れる。その触感、生海老、臭みや癖のない鮮度抜群のプリップリのやつだ。鱗の色もゆで海老を思わせる色合い、通じる何かがあるのかもしれないな。
二口、三口、かぶりつく、噛みしめるほどに肉汁があるれ出る。豚、牛、鳥、普段食べなれた肉とは別物だ。あえて伝えれば鶏肉に近いか、溢れる肉汁は油ではない、旨みだ。しつこくなく口内を油分で覆われることはない、おだしみたいだ、肉のうまみを凝縮しましたって感じだ。炭火焼肉で鶏肉を皮面からじっくり火を通し、身も隅の弱い火力で火を通す、そしてきつね色の見事な焼き色が付いた、旨み溢れる焼き身、それに近い感じだ、米にも合うだろう。しかし白ごはんがほしい、かき込みたい、そんな思考も起きず、無心でかぶりつく真。
絶両な焼き加減から生まれたウインナーのような表面のパリッとした歯触り、後に続くプリプリの肉質にあっさりした肉汁、臭み野生臭さ、主張する個性はない。地球にサラマンダーが生息してたら、豚、牛、鳥、蜥蜴、と肉のメイン流通レパートリーに数えられてほしい、日常的に食したい。これは、うまい、本当にいい肉だ。
そんなお肉に夢中な真をナナとシロエはにちゃにちゃした笑みを浮かべ、「すごい食い付きだね」「ええ、たたみかけましょう」、小声で会話し、次なる行動を開始した。
ナナは食器類を慣れた手つきでパンツ鎧から取り出し鍋に向かう。真は肉に夢中で指摘しないが衛生面は問題ないのだろうか。
シロエは真同様、漫画肉にかじりつき、「ん~、おいし~です~」、頬に手を当て体をくねらせる。食べなれているであろうシロエにとっても美味なお肉。変わらず、純粋に“食”を楽しむのであった。
明日の投稿はお休みです。
24火曜日から12時更新を再開します。
年内にはこのくだりは終わると思いますので隙間時間にでも、
お付き合いいただけると幸いです、ではでは~。




