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お外でごはん~火蜥蜴のお肉その2~


 石を積み上げ作成されたお手製かまどに吊るされる鍋、何の料理だろうか?気になる、蓋を開けてのお楽しみか。


 その横には別の火だね。小さなキャンプファイヤー用の組み方をされた木々がごうごうと燃えている。その周囲、まるで漫画肉、円柱型の桜色のお肉が川魚の塩焼きの調理現場の様に焼かれていた。なにこれ!めっっちゃ、うまそうなんですけど!


 風の影響で匂いはこちらに来ないが、期待しか持てない。卵がうまかったのだ、その本体がうまくないわけがない。


 歩みだしているシロエに続く真、そのあとに続くナナ。足取りは軽やかである。


 真は気にしたそぶりも見せないが普通の神経の持ち主なら別の場所に目がいっていただろう。


 まるで小山、積み上げられた火蜥蜴の山。その後方、その山より大きい洞窟の入り口。洞口入り口がある岩壁、見上げれば頂上は窺うことができず、ずっと壁があるだけ。


 真達がいる場は、山の中腹、道もない孤立した場、真の部屋の何十倍も広いが周りは切り立った岸壁、足を踏み外せばあの世行きである。見渡す限りの手つかずの自然抜きでも絶景のロケーションを拝める環境が整っていた。まさに大自然なのであった。しかし、それよりも“食”を優先する真。ここまでくるともはや畏敬の念すら覚える徹底ぶりですらある。三人は楽しげに談笑している、ナナとシロエはなれたもので問題ないがこの場に違和感なくなじめる真、彼ならばこの世界でもたくましく生きていけるだろう。



 余談であるが辺境、さらに人里離れた奥地の洞窟、こんな地に大量発生した火蜥蜴など捨て置いても問題がないのではと思うだろう。実際に依頼を出したギルドがある村にも直接の被害は出ないであろう。しかし、間接的には発生する恐れがある。


 この洞窟を住処にしていたモンスターがよそに移る、結果生まれる新たないざこざ。数を増やした火蜥蜴が生息範囲を広げる、他モンスターの生息域に影響が出る。言ってしまえば食物連鎖における生物の争いである。これは人間にも無視できない問題であった。


 真のいる世界でも、イノシシにクマ、本来、人里にいない生物がエサを求めてやってくることがある。これと同じことがモンスターでも発生する恐れがあるからだ。人間の安全な営みを守るために間引かれるモンスターにとってははた迷惑な話である。が、この世界では人間も必ずしも頂点に立つわけではない、場合によっては間引かれる側にあることを忘れてはならない。




「どっちに興味ある?お肉も鍋も食べごろよ」



 腰かけに岩を使い腰を下ろす三人、テーブルだけはキャンプ用の市販品が使われていた。どこから出したかは言わずもがなだ。


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