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和風プリンが食べたくてその4


「ねえ真、火蜥蜴のお肉、あるんだけど食べたい?」



 この部屋を訪れた本来の目的を真の背に向けしゃべりだすナナ。この男に気遣いは無用、下手に慰めたり謝ったり、そんな言葉は求めていないだろう。“食”には“食”でお返しをするのが効果的のはずだ。間違いなく食いつくはず、もう食べられない食品よりまだ見ぬ食べられるかもしれない食品にね。



「え!サラマンダーの肉!くれんの!」



 物凄いいい笑顔で、髪を振り乱す勢いで振り返る真。喜怒哀楽、切り替えスイッチが故障しているのだろうか、感情の変わり身が早い男である。



「ええ、昨晩ご馳走してくれたお礼と思って受け取って、ね、シロエ」



「ですです」真の奇怪なリアクションは想定内、火蜥蜴の卵で把握済み、未知の食材に目がないことを。ナナとシロエは、プリンの件をうやむやに、食材をエサに異世界に真を連れ出すアプローチ、二つを同時にできたと、コタツの中、拳と拳を合わせた。



「でね、向こうの世界で準備はできてるのよ、いい感じに焼けてるのもあるわ、野外で自然を感じながらのバーベキュースタイル、おいしいわよ」

「まじか!いくいく!俺を連れてって!ごちになります!」



「外だから靴持ってね」「おう!」これまた好感触、この男。こと“食”に関してなら、欲望に忠実なのだろう。悪い人間に騙されなければいいが。自分たちを棚上げし、余計な心配をしてあげる二人だった。


 意気揚々とコタツに近寄ってくる真。「こっちよ」裾を捲り、コタツ中央、カーペットの上にある握りこぶし大の穴を指さす。「見ててね」ナナがコタツに潜り込み、その穴に吸い込まれ消えてしまった。



「まじか!俺の部屋に異次元に通じるあの例の穴があいてたのか!」

「次元を超えるのって色々大変らしいですしラッキーですね」



 ラノベ知識のある真、例の穴を見てテンションを上げ、シロエにもよいしょされ、「お先にどうぞ、お肉が待ってますよ」とどめの一言、真はためらいなくコタツに潜り込んだ。そして、穴に吸い込まれる。真の異世界転移初体験の瞬間であった。



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