決戦、火蜥蜴その3
彼女独特の間をあけ、ナナに告げる。
「言わなくてもななちゃんならわかってくれると思うな、私のこたえ、というか思ってることかな」
「そう、奇遇ね、たぶん同じ考えだと思うけど確認してみる」
「せーの!」年相応の無邪気な顔で二人は声をそろえ、
「「ごはんはみんなで食べたほうがおいしい!」」
同じ思考を披露した。
真の料理は美味だった。それは間違いない。そして、二人で食べるより三人で食べる方がより美味であった。それも、同じく“食”にこだわりがある人物なのだ。話も合う、互いの“食”へのこだわり、食べ方の作法とでも呼ぼうか、違ったとしても、勉強になるし、新たな発見になるかもしれない。同好の志との触れ合いは単純な話、楽しいのだ。
「とは言っても誰でもいいわけじゃないわ、最低でも真レベルのこだわりを持ってる人物が望ましいわね」
「あ!それわかる!真ならなんだかんだ言いながら付き合ってくれそうだし、話も合いそうだよね、多分あの人も私たちと同じ“食の同士”の匂いがするし」
「じゃあ決定ね、真は私たちのパーティーに入れるとしてあと二人はいないとギルドに申請できないのよね、しばらくは“トリオ”かしら」
「だねー、どっかにいい人材転がってないかな~」
自由人な二人は本人に確認も取らず異世界で冒険する頭数に真を勝手に入れるのだった。
それからしばらく歩を進めると、
「さて、そろそろ大立ち回りを演じる時間よ」
〈ライト〉の魔法はもういらないだろう。前方から明かりが見える、洞窟本道、横穴から漏れ出た明かりだろう、心なしか湿度も落ち着いてきたと感じる。
「行くわよ、準備はいいわね!」
「いつでも行けるよ、ななちゃん!」
横穴入り口まで戻り、二人は再び眼下を見下ろしている。相も変わらず岩肌を確認できない数の赤いうろこたちがうごめいている。しかし二人には迷いはもうない。
「続きなさい!」
短く口にし、ナナは飛び出した。
上空からの大剣、いわゆる“”バスターソード“と呼ばれる両刃で刃は広く盾としても使用できる鉄塊、その重量を生かした一撃が火蜥蜴の群生地に穴をあけた。
ピギー、耳につく高音質の断末魔をあげる火蜥蜴たち、ナナは初撃で大剣をハンマーの要領で叩きつけ、押しつぶしたのだ。硬質の鱗を持つ大群、まともに切りつければ、自身の武器が刃こぼれし、まともに機能しなくなる、経験が生きた戦略と言えよう。
短い手足で、這い寄る者、とびかかる者、後ずさる者に土煙を上げナナは次々と細腕からは考えられない剛腕を振るう。風圧、剣圧、足で、腕で、全身で暴れ回るナナ。彼女を中心に動かぬ火蜥蜴が量産されていく。
まるで煎餅、平たくなる者、原型はとどめているが身じろぎ一つしない者、意識は残るが、出目金目玉と二股に分かれた舌のみが機能を保ち、身体機能を失った者、瞬く間に1割、2割数を減らしていく火蜥蜴たち。ナナは雄たけびをあげ大剣を振るい続ける。
体が軽い!武器が軽い!一振りで複数体をぶっ飛ばせる!これがバフの力なのね!
普段以上のパフォーマンスを発揮する自身の体、大立ち回りを演じれる、これならやれる!いくらでも!何匹でも狩りつくせる!そんな時だ。シロエが声を荒げる。
「危ないナナちゃん!」




