決戦、火蜥蜴その1
天井付近に小さな光の玉〈ライト〉が浮かび周囲を照らしている。
洞窟内は相変わらず多湿、ただ立っているだけで肌に不快感を感じてしまう。
真の部屋から戻ったナナは首をかしげながら、
「おっかしーわね」
武器を取りに入りなおした簡易テント。なぜか再び真の部屋に出た。なぜ?
念のためと“簡易テント”の見張りをかって出て待っていたシロエの元に戻り説明した。なぜかまた真の部屋に入ってしまったと。
「ん~、じゃあ真の部屋にあるってこと?なわけないよね、もう壊れたの“簡易テント”?」
しゃがみ込みデコピピンを入れるシロエ。“物理魔法完全無効”は健在で無傷であった、かかっていない“簡易テント”なら壊れていただろう。
「ん~、魔法は生きてるみたいだね、ななちゃん」
珍しくシロエがナナを見上げる。
「ん~、そうみたいねー。ん~」
腕組みし、思考に更けるナナ。
シロエの言であったが、おそらく“簡易テント”には問題ない。ならば問題は私が現状打破の武具を望んでいない?ばかな、ありえない。…なら、解釈の問題だろうか。現状打破の武具は真の部屋にある?いや、すでに真の部屋で受け取っている?、一つ思い当たる節があり確認作業に入る。
ナナはおもむろに脚部付け根の装甲に手を入れる。平たく言うとパンツだが。
「えーと、ああ!あったわ」
カード状のものを取りだすその姿は、汚い四次元ポケットをあさる某猫型ロボットを思わせた。そのナナの手には、
“住民票”
が、握られていた。これは字のとおり住民票である。自身の身分を証明するカードでありナナたちの暮らす世界では冒険者のみならず皆が所持している。違いは色分けされている点だけである。複数種類があるが大きく分けて2つ。一つは、ナナが持つ“ブラックカード”冒険者を示すカード。一つは“イエローカード”一般民を示すカードがある。身分職種により種類はまだあるが大分類ではこの二つである。
「あ!やっぱり、見てシロエ!」
自身の“住民票”をいじり何かを表示させている。この世界の住民票はスマホのように操作できる液晶状となっている。動力源は魔力、電池パックならぬ魔力パックが搭載されているのだ。
画面には彼女の“個人情報”が表示されていた。
攻撃力とか防御力というゲームのようなステータスではなく、身長、体重、スリーサイズといった乙女のトップシークレットののるステータスである。その項目の下段、スクロールさせた画面を見せる。
“身体状態、身体強化〈中〉耐熱効果〈特〉”
「こっれって!」
「あれだけ心を揺さぶられたんだもの、魔法みたいなものでしょ」
予感が的中していた。おそらく真の料理、それが二人の求めるものだったのだ。
そしてそれを食したことにより、
いわゆる、“バフ”がかかった状態となっていた。
やっとタイトル回収できました。
”バフめし”字の通り、バフのかかるごはんのことでした。
この話からしばらく二人の冒険のくだりになります。
楽しんで頂けたら嬉しく思います。
ではでは~
PS・明日、現状投稿話の間に割り込みで一話追加するかもです。




