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夏の日のユーレイ  作者: マヤ
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わたしが奇跡と信じるもの

 遠くでドアの閉まる音がして、女性はゆっくり息を吐き出す。しばらく窓から下の景色を眺めていると、さきほど出ていった青年がゆっくり歩く影が見えた。それよりもっと遠くに、赤いサイレンや不安を誘う煙があるのも見えた。

「ニャー」

 声に振り返ると、いつもは自分が座っているソファに黒い老猫がいるのに気が付いた。

 女性は何かを思いついたかのようにおもむろにデスクの引き出しを漁ると、小さな黒い塊を取り出す。

「おいでハイド」

 女性が手を揺すると、老猫はゆったりした動きで足元までやってくる。

「おいしいものをあげよう」

 女性は手の中のチョコレートを猫の口元に寄せる。興味深そうに二、三回鼻を近づけるも、彼は前足で飼い主の指を叩くとそのまま寝転がってしまう。

「そうだよなぁ。普通はそうするよ」

 残されたチョコレートを口に含むと、ふわっとアルコールの香りが広がる。今度はちゃんと彼用のおやつを取り出すと、途端に老猫が起き上がる。

「怪しいものには手を出さない。どんなことも疑いを持ってみる。それが普通のはずだろ? なのにカレは自分から危険に飛び込む。すぐに他人を信じる。おかしいヤツだろ」

 口調とは裏腹に、どこか親愛を込めたような声色。おやつを食べ終わった老猫が女性の膝に飛び乗ると、その衝撃で椅子がわずかに揺れた。

「けっきょく、どうするのが正しかったのかな」

 せめて、返ってきたカレがいつも通りのカレを演じられるよう、わたしも演じよう。これからも、他人とかかわろうとするカレは傷つくだろうから。わたしができることを、演じよう。

「お前は答えを知ってるかい?」

 背中を優しく撫でると、丸くなっていた老猫が[ナー」と眠そうに鳴いた。

ホラーが書きたかったのか、とある女性を書きたかったのか、はたまた二人のペアが

書きたかったのか。自分でもはっきりしないのでその点はごめんなさい。

今回はキャストより先に物語の本筋が出来ていたので、別に書いてるシリーズからキャラクタだけ引っ張ってきました。そのせいで読みにくくなってたら重ねてごめんなさい。

それでも最後まで読んでくださる人がいたら、ありがとうございます。

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