パーフェクトデュオ
文才のなさにはご勘弁を
第3話
「強さ」
僕の胸は高ぶっていた。確かに緊張はする、でもそんな感情はこの高揚感の前ではもはや意味をなさない。そして、僕は試験に望もうとしていた。
「では、これより試験を始める。内容は1対1の勝負とし、相手をこの直径50メートルの円形のフィールドから出すか続行不能にさせた者の勝ちとする。」
「そして、私ファランからも何点か伝えておこう、この勝負で君には5人とやってもらう予定だ。そして、1試合が終わる毎に10分間の休憩を取ることとする、以上だ。」
そして、試験が始まる。
僕の前方には1人の屈強な男が立っていた、僕の対戦相手であろう男は一言、「手加減はしない」とだけ僕に言うと集中力を高めていた、まさに野獣だ。
「こちらもです」
「始め!」
こうして、少ない会話を交わし、周りに誰もいない中勝負は始まった。
その時僕は、相手の男が眼前に迫ろうするその刹那、僕は何故か祖父との修行を思い出していた。
「おい、シリウス、相手に勝つために一番必要な力は何じゃと思う?」
「ん~力じゃないの?」
「違うな、確かに力も大事じゃ、しかしそんな他を圧倒するような力を手にしようとすればもう一生寝る時間は無いと思った方がいいじゃろう」
「じゃあ、何が一番大事なの?」
「それは、ここじゃよ」
「頭?」
「そうじゃ頭を使うことは一番勝負において大事なことじゃ。じゃが、ただ使うだけじゃダメじゃ、お前ももう15じゃ、そろそろ魔法力だけでなく頭も鍛えていかなければならんな」
その1年で僕は誰にも負ける気はしなくなった。
男は炎魔法の使い手なのであろう、炎を拳に宿し次々とパンチを繰りだす。しかし、その攻撃を僕は難なくかわす。そして、おおよそのパターンを見極め、勝ち筋を導き出した僕は反撃に出る。
祖父が言っていたことは正しかった。多分普通に身体能力だけでいえば僕は負けていたかもしれない。でも、勝負はそれだけでは決定づけられない。そして、僕は魔法力に関していえばトップクラスだと祖父は言っていた。僕にそんな感覚は無かったが、この男よりは強いと断言できる。そして、シリウスはあ最後の1年で身につけた能力を次々と見せつけていく。
文才のなさにはご勘弁を