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欧州骨董買付帳  作者: ふくろう亭
集荷
24/40

24 ちゃんとお仕事

そうこうしているうちに昼近くに成る。私の食習慣としては、あまり時間にこだわらないとしているので、その日の気分なのだが、ダイアナはそうは行かない。朝が不規則な分、昼だけでも習慣的なものにしたいらしい。

 というわけで最近の私は、昼の十二時には確実に食事のテーブルについている。内容はそのときどきでいろいろだが。

 午後はこれと言って決まった動きにはあまりならない。午前中に何をしたのかによって定まってくることが多い。体調にもよるし。このあたりは自由であるべきだと私は思っている。やるべきことさえやっていれば。

 例えば昨日など、午後には取引のある運送会社に行って商談をこなしている。今月は船便で発送予定があるのでそのための打ち合わせをしている。送り先は東京、受取先は「オーナー親方」だ。親方とは細かいことを前日に電話で確認してあった。荷物のリストは写真付きで親方あてにメールで送ってある。物によっては追加の写真や解説の必要なものも出て来る。後は積み込まれる船の予定や、集荷状況などの詰めを行う。今月は飛行機便も一つ送るつもりなので少々慌しい。一ヶ月以上もロンドンを留守にしていたのでしかたがないが。

 「で、ホンマは何しとったんや。ただ療養しとっただけやないやろ」怪しげな関西弁で追求を当然受けた。

 「メールに詳しく書いたじゃないですか。よんでないんですか」ダイアナ姉弟やメイドさんたちと撮ったスナップ写真も添付して行方不明中の顛末をメールしていたのだが。

 「なんか創作のにおいがするんやな、涼子も言うとったで、なんか怪しい、てな」

 「見せたんですか」涼子さんというのは親方の娘で大学生だ。ちなみに、一時勉強を手伝った事もある。私は大学中退の落ちこぼれだ、といっても「入学は出来たんだから」という理屈だった。そもそも魔法がどうの頭がはげたのといったことはメールにも書けないし、単に旅先で倒れて助けてもらったと言うのは確かに不自然ではある。

 「そら見せたわ。いっとき連絡がつかん言うたらえらいこと心配しとったんやで。探しに行ったほうがええんとちゃうか言うてな」

 今の御時世で半月も不明というとそうなるか。

 「そこにきてあのメールや。怪しい、女のにおいがする言うとったで」

 「…」

 「まあ今度おうたときにでもな。ゆっくり話しょうか」

 仕事以外で長話はしたくないものだ。

 そんな会話をはさみつつ段取りを詰め、運送業者の事務所へ行き話をまとめてきたのだ。

 とりあえずのやるべきことは一旦終了となるので、ここらで休日を入れたいのだが、このところの自宅での動きがそれを許してくれそうもない。とにかくダイアナの行動が活発なのだ。

 「この後三時にリッチモンドに行きたいの」西の方か、ウィンブルドンの近くだったような。

 「お宅に寄ってお茶をするだけだからこのまま行きましょう」イエス、マダム。

 パブリックスクール時代の友人に会うらしい。姉弟揃って英国留学とはなんてブルジョアな。

 ということで、私は運転手となる。

 

(買い付け時の注意)

 ここで出てきた運送業者ですが、ロンドンには美術骨董専門の運送業者があり、集荷から外国への発送まで一手に引き受けてくれます。これらの業者と取引があると小売の店で現金無しでの買い付けが可能になります。小物でも大物でも集荷してコンテナなどに積込んで船に乗せる仕組みです。この仕組のおかげでどんなサイズの家具でも重いピアノでも買い付けして日本へ送ることがが可能になるのです。 

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