プロローグ
暗い…そこに光は無く、音も無くただ永遠とも思える闇が続く。手も足も動かない、自分に残された最後の自由は思考することだけ…いや、それも今やただの苦痛でしかない。
もう俺は・私は・僕は…自己の認識すら定かではないというのに、自分は何故止めない、諦めないのか。
たとえ神だろうと自分を救えはしないだろうこの状況で…。
悪あがき…目標も目的も全て腐り落ちた、だが…この行為に何か意味がある、不思議とそんな気がした。
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木々の揺れる音がする、木漏れ日が顔を照らす…「いや、どこだここ⁉︎」
おかしい、自分は部屋で寝t…いや違う。確か外で…。
「…なるほど、記憶喪失ときたか」
ここに来る以前の記憶が曖昧、で済ませられるレベルのものでなく…どうやら自分は名前すら思い出せないほどの大きな衝撃を与えるようなナニカに出くわしたのか、はたまた人為的なものによるのか。まったくもって検討すらつかないが、土の上にいつまでも寝転がっているわけにも行くまい。
「森とは言え、近くに人っ子ひとりいない、なんてことはないだろう…どこぞの樹海の奥深くでもなければな、」
自分で言うのもあれだが縁起が悪いな。考えても仕方ない、いまはただ進むのみ!