表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第二話>>>

[1]

□ 扉絵


[2]

博美「ごめんね、冬実…」

由希子「さ、行こ!」

モノローグ「残ったのは私一人だけ!?」

  冬実、着替え中のまま、拳を握り締めて目を見開いている。

ぺたん

  冬実、膝をついてしまう。

冬実(心の声)「もうダメ……」


[3]

  考え込んでる冬実。

冬実「先輩は引退しちゃうし由希子たちも退部……」「私一人じゃ女子柔道部の

 存続なんて……」

ガックリ。

  うな垂れる冬実。


  外で聞いてた孝之。

冬実「・・・・・」

孝之の声「……おい冬実。」


[4]

  孝之が部室に入ってくる。

冬実の声「孝之!?」

孝之「座り込んでていいのかよ? 市民大会まであと十日だぞ?」

冬実(淋しそうに笑って)「だって…団体戦だよ? 一人じゃどうしょうも

 ないじゃん。」

  バン!

  孝之、冬実の耳元の壁を思い切り踏む。

  驚く冬実。

孝之(スゴ味を効かせ)「お前、そんな程度の覚悟で3人で優勝するなんて

 言ってたのかよ!!」

  押されてる冬実。

冬実「だっ……」


[5]

  激しい口論。

冬実「だって一人じゃ練習さえできないでしょ!!」

孝之「『最後の最後までファイトを燃やせばなんだってできる』んだろ!?」

冬実「う……」「で、でも相手がいないと練習は……」

孝之(稽古着を物色しながら)「稽古着を貸せ。俺が練習台になってやる。」

冬実の声「孝之!?」

孝之「小学生の柔道教室じゃお前に負けなかったんだ。今だって……」

孝之(書き文字)「うう 女くせえ道着…(汗)」


[6]

冬実(泣きそうになり)「孝之……男子柔道部が潰れなかったら続けたかったの、

 やっぱり?」

  孝之、背を向けて着替えてる。

孝之「・・・・・つべこべ言ってねえでさっさと練習行くぞ!」

□ 外。

□ 体育館。


[7]

□ 道場。

  2人が取っ組み合ってる。

孝之「たりゃあああっ!」

冬実「っせいっ!!」


  取っ組み合ってる。

  冬実、果敢に足技をかけていくが、

  孝之はなかなか転ばない。


[8]

  休憩中。ばてばての2人。

冬実「はぁ、はぁ、はぁ……」「チクショウ、ケンカなら孝之に負けないのに

 どうして……」

孝之「言ってるだろ頭を使えって。」

孝之「お前の攻撃はパワフルだけど真っ直ぐすぎるんだ。」(言い捨てるように)

 「柔道に限らずな!」

  冬実、うつろな目で考え込む冬実。


[9]

□ めくれていく日捲り。

  トレーニングに励む2人。

  かつ、ポスターを貼ったり

  興味無さそうな友達に宣伝を試みたり。


  冬実、木に布を結びつけ打ち込み中。

  ばたっ

冬実「うっ」

  冬実、膝をつく。


[10]

  孝之、冬実を抱き起こして

孝之「冬実……お前熱があるぞ?」

冬実「ね、熱ぐらいで…」

孝之「バカッ!」「疲れてるんだよ。ムチャしてたからな…。今日は練習休んで

 帰って寝ろ。」

冬実「バカッて言うな! (書き文字:バカッていったら自分がバカだぞ)

 市民大会まで4日しかないんだ! 今、練習を休んだら……」

孝之「悪化したら大会自体出らんないだろーが。いいから帰って休め、治してから

 練習しろ!」

  孝之は座り込んでる冬実に呆れて

孝之「もういい、俺が送っていく!」「カバンどこだ?」


[11]

  孝之は冬実を背負って歩いている。

冬実(熱で赤い顔)「たかゆきー」

孝之「ん?」

冬実「なんでお前……こんなに協力してくれるの?」

孝之「……ガキのころからのクサレ縁だろ。友達なら助け合うのが当たり前じゃ

 ないか。」

冬実「友達……ね。」

  意味ありげにクスッ。

孝之「何がおかしい」

冬実(赤い顔で)「別に。」

  クスクス

  (作者注:冬実は無意識のうちに、孝之の恋愛感情を期待してしまってます)

孝之(冷静に)「あのな冬実。ひとつだけ尋いていいか?」

冬実(焦)「な、なに?」


[12]

□ 夕暮れ。

孝之の声「俺がおぶってるのはたぶん女性じゃないかと思うんだけど、背中に

 胸の感触が無いのは一体……」

冬実「!!」


  ばきぃぃっ…きぃぃっ…きぃぃっ… (エコー)


□ 市立体育館。

立看板「~市平成××年度女子柔道大会」

  道場では女子の試合が進行中。

  廊下のベンチで、冬実は稽古着姿でスポーツドリンクとタオルを手に座ってる。

孝之「調子は?」

冬実「悪くない」


[13]

孝之「いけそうか?」

冬実「わかんない。」「実際、団体戦に一人で出るなんて聞いたことないもんね。」

孝之「喝ーっ!」(ふざけて)「お前は勝つ! 勝ってもらわないとこまるのだ!」

冬実「?」「なんで?」

孝之(焦)「あ、いや、別に」「配当20倍のお前の優勝に五千円賭けたとか

 そういう理由じゃ…」

  冬実、孝之の襟首を掴み

冬実「た~か~ゆ~き~…#」

孝之「わあっ、暴力反対!!」

  冬実、孝之を放し

冬実「そろそろ出番だから行ってくる。」

孝之「ガンバレよ~!」


[14]

□ コートに出てきた冬実。

  その後ろから

声「おーい、今川ぁ!!」


  観覧席で、かなり大勢の生徒達が声援中。

生徒A「優勝したら大穴20倍だぞ、がんばれー!」

生徒B「いやいや3回戦だ、3回戦で負けろ!」

生徒C(女子、ビデオカメラを手に)「違う! 私は4回戦の2.4倍に二千円賭けた

 のよ! 3回戦まで勝つのよ、今川!」

書文字「証拠映像♪」

  冬実、引きつり笑い。

冬実「……孝之のヤロ~。」

小さく書き文字「…たしかにおおぜい来てる」


□ 試合場。

審判「1人?」

冬実「はい。1人で何度も出ちゃいけないってルールはありませんでしたよね?」

審判「な、無いけど…」


[15]

  身構える冬実と相手A。

審判「はじめいっ!」

  ガッ!

  相手Aの手が冬実の襟首を掴む。

冬実「!」


[16]

  ふわっ!

  冬実の、ものすごくキレイな払い腰。

  どぉーん!!

  ぶったおれてる相手A。

審判「いっぽぉぉん!」

  冬実、膝をついたまま驚愕。

冬実の心の声「か…軽い!!?」


  ---つづく


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ