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第一話>>>

■■意図


某コンテンツで、「誰が作画でも可能そうな格闘技物、24ページ×3話連載、ウケたら3話ごとに完結させつつ長編化可能な原作」という条件に合わせて提出した5~6本のプロット案がありました。その中にあった『気合ッ、オウ!(仮題)』という物語が原型です。他のプロット案と比べると、学園が舞台でスポーツ要素が強く、資料も得やすそうだったところが特徴でした。


 『気合ッ、オウ!』は内容が地味ということで没になりましたが、主人公の性別を変えて、テーマも暴力描写から心理ドラマにシフトし作り直したのが『最後までファイト!』(『最後の最後まで』改題)です。


■粗筋

 短期連載(16P×3話 計48P)を想定した女子柔道ものです。

 冬実は女子柔道部の廃部を防ぐため、団体戦の大会に3人で出場して優勝すると

いうムチャな計画を立てた。だがあとの2人は退部してしまい、冬実は孤立無援

となる。幼なじみの孝之は、悪態をつきつつも冬実に協力する。

 そして大会の日…孝之の作戦が図に当たり、冬実の快進撃が始まった…ように

見えたのだが、柔道はそんなに甘くはなかった。


■人物

今川冬実:柔道一直線少女だが、元はワル。ワイルドな感じのポニテっ娘または

 三つ編みっ娘を希望です。(注:白帯)


北条孝之:冬実の幼なじみで女子柔道部のマネージャー。冬実のやり方に少し

 批判気味だけれれど、いざというときには助けてくれる。


佐竹由希子:女子柔道部員。キツめの雰囲気で、冬実とは意見が対立する。

結城博美:女子柔道部員。のんびりタイプの付和雷同型。


女子生徒A:冬実を恐れてビビる。

先生:けっこう勇気と男気のある男の先生。

生徒たち:冬実の試合をネタにトトカルチョをやる。


先輩たち:女子柔道部の先輩。物語冒頭で引退してしまう。


相手A:一回戦の最初の相手。

相手B:優勝候補チームの次鋒。強豪。

相手C:同、中堅。重量級。

相手D:同、副将。超つよそう。


1年:1年生の女の子たち。



[1]

□ 「女子じゅうどう部」と達筆で描かれた看板。


□ 柔道部の部室。

先輩たち「本当に大丈夫? 私たちが引退しても…」

冬実「はい。なんとかがんばります!」

  部室棟前から去って行く先輩たち。

  部室棟前で手を振る冬実。

  冬実、笑顔で手を振ってる。

  冬実、我に返って溜息。


[2]

□ 扉絵。


[3]

  冬実が部室の中へ戻ると、そこにはテーブルがあり、

  考え顔の由希子と博美がいる。

冬実「とうとう3人に……なっちゃったね。」

由希子「どうするの、冬実? クラブとして認められるには、最低5人必要でしょ」

 「このまんまじゃ廃部よね?」

冬実「手は……ある」

  両手をテーブルにつき、思案顔。

冬実「半月後の市民大会……あれを思いっ切り宣伝しまくって、見に来た生徒達の

 前で優勝してみせる!」「それで部員が増えれば廃部にならないっ!」


[4]

由希子「でも5人いなければ団体戦は……」

冬実「勝ち抜き式じゃなく勝敗式だから、3人で3勝すれば勝てる!」

由希子(あきれて)「・・・勝つ気?」

冬実(決意の表情で)「勝つしかないでしょ!」

  シュルッ。

  呆れてる2人を尻目に着替え始める冬実。

冬実「そのためには練習、練習!」「今日もガンバロウ!」

  ガラッ。

  着替え終わって部室から出た冬実、

  部室前の通路で腕を組んで寝転がってた孝之の足に躓きかけて

  踏みとどまる。

冬実「!」


[5]

冬実(ジロリ、と見下し)「何よ、孝之?」

孝之(顔を上げてニヤリ)「無理。」

冬実(怒って)「何が無理なのよ!?」

孝之「冬実の作戦はいつも穴だらけだけど今回のは特に巨大だ。バリンジャー

 隕石孔も真っ青ってとこか。」

冬実「どこに穴があるっていうのよ!?」

孝之「汗臭い柔道だぜ? 世界選手権ならともかく、市民大会なんか見に来る奴が

 いるかよ。」「宣伝もどうせポスターくらいしか考えてねえんだろ?」

  ぐっ…

  言葉に詰まる冬実。


[7]

  冬実、キレて

冬実「だいたいねえ! 孝之はなにやってるのよ!」「女子柔道部のマネージャー

 なんだから、部員を集める方法とか考えるのが役目でしょ!」

孝之(立ち上りながら)「好きでマネージャーやってるわけじゃねえよ!」

孝之(後ろ姿)「俺だって柔道部が……」

  お互いに背を向け、立ち去る冬実。

冬実「とにかく!」「練習に行くんだから邪魔しないでよね!」

  孝之、冬実を横目で見送る。


  バァァン!!

  道場。冬実が博美を転ばし、寝技に入る

  ところ。


[8]

  博美を抑え込む冬実。

由希子の声「抑え込み!」

博美「あうう……」

冬実「ほら、逃げてみせなよ!」

由希子(時計を見て)「……」「30秒! 一本です!」

  キーン コーン……

冬実「あ、下校時間…」

由希子「じゃ、終わりにしましょうか。」

  疲れきってる博美。

  ありがとーございましたー

  ・・・と声が響く。


□ 部室。

  3人が着替え中。

由希子「ねえ冬実、本当に市民大会で優勝する気?」


[9]

由希子の声「強豪の学校が参加してくるし、社会人だって出るんだよ?」

  冬実、不愉快そうな表情。

冬実「うっさいわね! やるしかないでしょ!」「最後の最後までファイトを

 燃やせば人間、何だってできるのよ!」

  窓の外から声。

声「じゃあ、最後までファイトで『京の生だら奈良生まながつを』って言ってみ?」

冬実「きょうの生らら奈良ならまままつを…」

  ガラッ!

  窓を開けて

冬実(赤面(注:まだ下着姿))「孝之っ! のぞいてたの!? このヘンタイ!」

  孝之は窓の下の壁に寄りかかって坐ってた。

孝之「のぞいてねえよ聞いてただけだよ。」

孝之「何度も言うけど冬実の作戦はいつも穴だらけだ。もっと考えた方がいいぜ?

 ホント。」

  立ち去りかける孝之。

孝之「じゃ…あ、それと。」


[10]

孝之(汗)「窓を開けるのは服を着てからにしたほうがいいと思う。」

冬実(真っ赤)「!!!!!」


  冬実、窓際で自分を抱きしめるような形でうずくまって歯を剥いてる。

冬実「あ、あのやろ~、、、」

  冬実、ふと遠くを見る目。


□ (回想スタート)

  子供の頃の冬実、子供の孝之と乱取り中。

  孝之が足払いで冬実をこかす。

冬実(子供)「あっ!」

冬実(子供)「くっそ~!どうしてたかゆきくんに勝てないのかな?」

孝之(子供)「無理無理 女は男に勝てないって!」


[11]

冬実(子供)「勝てるもん! 最後の最後までファィトを燃やせば勝てるって

 先生が言ってたもん!」

孝之(子供)「ファイト燃やしたってそれだけじゃだめだって。頭も使うから

 僕はふゆみちゃんに勝つんだよ。」


□ (回想終了)

冬実「頭……か」


□ 学校。

キャプション「翌日---」

  きゃあああ・・・・・

  と声が響く。

□ 廊下。

女子生徒A(現金を手に)「ごめんなさいごめんなさい今、これだけしか…」

冬実(引きつり笑い)「いや、そうじゃなくって柔道部の試合の話を…」

先生の怒鳴り声「こらァッ! 今川っ!」

  目を瞑る冬実。


[12]

  逃げていく女子生徒A。

先生「柔道部に入ってやっと真面目になったと思ったのにまだカツアゲやっちょる

 のか!!」

冬実「ご、誤解だよ~せんせー」


□ 別の廊下。

  冬実はイライラしつつ歩いている。

冬実「ちきしょー何をやっても上手くいかない…」

冬実「私の考えってやっぱ穴だらけなのかな……」

  ふと気づく冬実。

声「よーし、2回戦までに千円!!」

声「優勝に賭ける奴いないか? 当たれば大穴だぞ!」

冬実(心の声)「孝之?」

  冬実、教室を覗き込む。


[13]

  冬実、仰天。

  黒板に「女子>柔道部廃続試合トトカルチョ」と大書されており、「正」の字が

  いくつも。その前で胴元をやってる孝之と、金を賭けてる生徒たち。

  焦る孝之。

孝之(汗)「あ、冬実……!?」

冬実「孝之……てめえ…!」

  FIREーッ!!

  拳を固めて白目となり突っ立つ怒りの冬実の後ろに、炎が渦巻く。

  逃げ惑う孝之と生徒たち。


[14]

□廊下。

  ぐしゃっ

  どかっ

  ばぎっ

  ばりばり…

  吹っ飛びそうになってる扉。

冬実の声(絶叫)「ひとが真面目にやってんのに何かんがえてんだーーーっ!!」

誰かの声「うわあ~~~!! やさぐれ冬実が復活したあっ!!」


  部室へ向かう冬実。

  空中に舞う大量のバンドエイド。(心理描写)

冬実(怒)「ったく!」

冬実(淋しそうな流し目)「……」「あいつだけは最後には味方になってくれると

 思ってたのに…」

  冬実、後ろ向きで拳を振り上げ、

冬実「やめ、やめ!」「考えても始まらない! それより練習練習!」


[15]

□ 部室。

  着替え中の冬実。

冬実(びっくり)「は?」

  由希子と博美がすまなそうに立ってる。

由希子「だからね、私たちもう冬実にはついていけないと思うの。」「来年は受験

 だしここらで…ってお母さんも言うから…」

冬実(呆然)「ま、まさか、ここへきてそんな……?」「うそでしょ?」

博美「ごめんね、冬実…」

由希子「さ、行こ!」

ガラガラ・・・ピシャッ!

  呆然としてる冬実が残される。


[16]

モノローグ「私…一人だけ!?」

  着替え中のまま、拳を握り締めて目を

  見開いている冬実。


  外で壁に寄りかかって孝之が聞いていた。

  (顔面にバンドエイド)


  ---つづく

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