北海道の怪談話「恐怖!震える街」第7話「九条橋」
これは札幌市内在住のタクシーの運転手、Yさんの体験談です。
シトシト雨の降る、深夜1時ごろのことでした。
札幌市内の九条橋あたりをタクシーで流していたときのことです。
橋のたもとに人影が立っていました。
若い女性のようです。
「車に乗るのかな」
と思い、スピードを落として停車しドアを開けたそうです。
ところがそこには誰もいないのです・・・。
「変だな」
と思いながら、ドアをバターンと閉めて、
アクセルをふんでバックミラーを見たとたん、ゾッとしました。
なんと、そこに女性が座っているのです。
それも似ても似つかない老女が乗っていて、
「霊園前まで行って」
と、細い声で言ったそうです。
もう何が何だかわからなくなり、夢中でタクシーで霊園前まで行ったそうです。
そのあいだ老女は一言も話をせず、車を停めてドアを開けると、
姿はかき消されたように消えてました。
Yさんは今でもシトシト雨の降る夜は九条橋に近づくことはないそうです。