第三話 国家
第三話です
相変わらず読みにくいですが読んでやって下さい。
自分で何書いてるのか分からなくなってきました…
では本編へどうぞ
「優!!走れー!!!」
優は最初『意味が分からない』といった表情で驚いていたが、和人の必死さを分かってくれたのかとりあえずは走ってくれた。
彼女のいた位置は防壁から25mは離れているので走れば大丈夫だろう、だが問題は和人である。
彼の50m走の記録は6秒80 射撃予告が正確だったとしても1秒近く足りない。だからと言って諦める訳にもいかない。
なぜなら誰にでも生存本能が存在する。行動しなければ死ぬと分かっていて何もしないのは自殺志願者ぐらいなものだ。
ゆえに 踏み出す足は一歩目から全力 思考するヒマがあるなら足を動かせ 簡単だろう?ただ己の限界を超えるだけだ!
「<5…>」
銃の上部に付けられたセンサーが目標を捕捉し
「<4…>」
微調整のため砲塔が少しだけ回転する
「<3…>」
モーターに繋がった6本の銃身が回転を始め
「<2…>」
回転速度が最大まで高まる
「<1…>」
初弾がチャンバーに装填され
「<0…>」
撃鉄が落とされた
『ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』
と ハチの羽音を大きくしたような音が聞こえる。毎分4000発、秒間60発強という高速連射のせいでこのような銃声となる。
正式名称『M134』通称『ミニガン』…生身のヒトが当たれば何も感じる事無く死ねることから、付けられたあだ名は『PeinLess Gun(無痛銃)』
一機でもヒト一人ミンチにするぐらいなら3秒もかからない
…だというのに、和人は生きていた。
うつ伏せに倒れて「ゼェゼェ」と苦しそうに息をしているがどこも怪我はしていないようだ…
だがなぜ生きている?銃弾をかわしたのか? いや、違う。砂埃の晴れた地面に答えはあった
地面には和人の走った足跡があり、その1mほど横に着弾跡がある。なぜこれほど逸れたのか………逸れて当たり前、防壁の作動テストはしていても射撃テストなどしていないのだから。もちろん一機二機はしただろう、だが全てのテストなどとても無理だ。弾薬代の問題もあるし、何より時間が足りなかった。とにかく完成が第一で細かい調整は全て後、よっぽど建設当時この国は焦っていたのだろう。
しかし、それも次はなさそうだ…足跡と着弾跡との間隔が確実に狭まっていっている。
取り付けられたセンサーが誤差を修復しているのだ。
だがありえない、50年以上前の代物だぞ?むしろ誤差1mでもよくできている。それ以前にあの銃だってまだ試作段階だったはずだ。この都市の技術力はどこかおかしい。宇宙人か何かが居たんじゃなかろうか?…それはまぁ置いといて
要するに和人は運が良かった、ただそれだけで助かったのだ
「大丈夫!?生きてる!?怪我はない!?」
優が大声で叫びながら和人の体を揺らす
「あぁ…なんでか生きてる……ヘッドスライディングなんて初めてだ」
「冗談言えるなら大丈夫ね、こけただけでしょ?」
と言いつつ手を差伸べてくれる
「見られてたのか…」
答えつつ和人は優の手をとり立ち上がった
「まぁね、というより目ぇ離せないわよ。あんな状況」
「それもそうだな、…それよりもここから離れよう。危険すぎる」
「うん賛成」
二人は公園を離れもと来た道を戻って行く、優もさすがに怖かったのか口数が少ないが泣き出したりはしない
「(強い子だな)」
和人は優の横顔を見ながらそう思った
あぁそうそう和人の出したタイムだが…『6秒12』 こけなければ6秒を切っていたかもしれない。とりあえず限界は超えたし生き残ったのだ、まぁ良しとしよう。
市街地に戻った二人だったがそこで見た光景は酷いものだった
防壁の近くでは車が炎上、アスファルトが捲り上がって民家が崩れ、なんと5階建てのビルまでもが倒壊している。さながら戦場のようだ。しかし救急隊や軍の姿はどこにも見えない。
「出られないとなるとまたホテルを取らないといけないのか…」
和人がこれからの出費を考えげんなりしていると
「どうしよう…」
優が弱弱しく言った
「なにがだ?…!?」
振り返ると優が半泣きになっていた
「アレ、私の家…」
アレとは倒壊したビルの事である
「マジか?」
「マジ…」
「所持金は?」
「3500円ちょい…」
「じゃあ貯金は?」
「無い…」
「そのカバンの中は?」
「ノートと携帯だけ…」
「で、どうするんだ?」
「どうしよう…っていうかそっちこそどうなのよ!荷物置いてきちゃったんでしょ!?」
優が少し興奮しながら言ったがその通りだった。和人の荷物は防壁の脇に置きっぱなしで、取りにもいけない
「ああ、あるのは携帯と財布だけだ。だが…」
「だが?」
「優と違って金はある」
言ったとたん優がキラキラとした瞳で和人を見つめだした。目が『¥』になるとはこういう事を言うのだろう
「そんな目で見ないでくれ、多少は出してやるから…というより親に出してもらえばいいんじゃないか?いるんだろう?」
「あ、それもそうだね」
思いつかなかったらしい、携帯を取り出し電話を掛けようと開くのだが
「あれ?圏外?」
「こんな街中でか?」
こちらに画面を向けてくる。確かに画面の左上には『圏外』の二文字がある
「料金をはらっー」
「ちゃんと払ってます!……お母さんがだけど」
セリフの最後の方はひどく小さかった。その様子を苦笑しながら見ていた和人だが、ふと気になり自分の携帯を見た。すると
「俺のも圏外だ…」
周りを見ると携帯片手に困っている人が何人かいるようだ。あの人達も同類だろう
数年前まで携帯会社は数社あったのだがメーカーによって通話エリアが違い使いにくいという事で、国営の会社一社に統一されている。よって「俺はド○モ」とか「私は○U」とかいう会話はされない。
それはともかく、連絡を取りたいなら後は公衆電話ぐらいしかない。
「公衆電話なんてどこにあった?」
「う〜ん…コンビニ?かなぁ」
「あぁ!そういえばあったな」
やはり若い世代にとって公衆電話は馴染みがないようだったが、とりあえずコンビニを目指す。防壁の近くでは怪我人も出ているかもしれないが、つい先ほど死にかけた和人としては近付くのも躊躇われたので「じき救急がくるだろう」ということにして離れていった。
コンビニに向う途中、小さな電器屋の前に人だかりができていた。気になり近付いてみると皆ショーウインドウの中のテレビを見つめていて、中ではキャスターが焦った感じでニュースを伝えている
「?」
「<…繰り返しお伝えします。先ほど旧首都移転予定都市の中心部にて細菌兵器による大規模な生物災害が発生しました。この細菌兵器は非常に強力で、都市内の生存者はいないもようです。国営研究所の発表によりますと、早期発見、隔離によって外部に漏れることは無いとのことです。詳しい情報はこの後の特集番組にてお伝えします>」
ニュースが終わるとテレビ画面は砂嵐しか映らなくなった。
「な…………」
さっきから死に掛けたり驚いたりしっぱなしだがコレには負ける。何せもう自分は死んだ事になっているのだから。周りの人達も同じだろう…だがまだ悪い事は続くようだ。
テレビに映像が戻る。映っているのはこの国で一番有名で偉い人間だった。
「<おはよう…旧首都移転予定都市の諸君。私は…まぁ分かるとは思うが日本王国第三国王だ。先程の報道で驚いたとは思うが、半分は事実だ。そこは数カ国合同の細菌兵器実験場として使われる事が決定し、たった今実験を開始した。 恨まないでくれたまえよ?この国は今、財政難なのだ莫大な借金もあるしな。詳しい事は所長にまかせる事にしよう。 では頑張ってくれ。>」
国王が消え、代わりに白衣を着た若い男性が映った
「<Good morning!モルモット達!!国営研究所所長『林 恭三』だ。これから実験の概要を説明するからおとなしく聞いてろ?何も分からず死にたくはないだろ? じゃあ説明開始!昨日細菌に感染させたラットを一匹その街に放った。失敗するかなぁ〜とか心配していたわけだが、無事人間に感染してくれたようだ。最初の一体は発症まで時間がかかっていたようだから改良の余地ありだね♪
あ、安心してくれたまえ?二回目以降の発症は感染してから5分とかかっていないようだから♪ それと何時間後だったか忘れたケド『アメ』ちゃんがウチと協力して造った生体兵器の投入もあるから気をつけてね。あとは…そうだな、電話・ガス・水道の供給停止、空港はたしか軍の基地と共有だったっけ?そこも破壊予定っと…そろそろだね、みんな基地の方角に注目〜 3・2・1・BOM>」
宣言通り基地の方角から盛大な爆音が響き黒煙があがる、しかも一度だけではない
目を凝らすと、空から降り注ぐ大量の爆弾とさらに上空の爆撃機の集団らしきものも見えた
「<いや〜太っ腹だよねぇ『アメ』ちゃんは♪全部自腹でやってくれるんだから。皆も見たと思うけど空港は閉鎖、防壁には迎撃装置、こんな状態だけど逃げたい人はどんどん逃げてね!これも観察対象だから、むしろ頑張ってくれないとこっちが困る。防壁から逃げれた人はもれなく保護してちょっとした診察の後開放、殺したりすることは無いから安心だね? 最後に、この放送が終わったら変電所の破壊と電波妨害を開始するからそのつもりで♪じゃあ皆醜く足掻いてくれたまえバイバイ。……………ヒントをあげよっか『中央病院』 じゃね>」
終始ニヤけ顔+ハイテンションだった所長とやらの説明が終わると、これまた宣言通り街の電気が全て消え…
先の防壁騒ぎとは比べ物にならないパニックがこの街を襲った
お読みいただきましてありがとうございます。
黒幕登場です
ゾンビはまだ出ません。次ぐらいかな?
最近『米吉さん』が出したくて仕方が無くなってきました
苦情、ダメ出し、罵り、何でも言ってやってください。
ではまた次回