16話 ことばです。
勇者との会話が多いかも知れないです(汗)
「あ、は・・・」
「・・・? フェノ様?」
ユウの心配そうな声と同時に私の意識が完璧に覚醒する。
「あはははははははははははは!!」
「っ!?」
笑って笑って、その声を戦場一帯に響き渡らせる。
ひとしきり笑い、口が弧を描いたまま叫ぶ。
「さー覚悟しなさい『歪み』!! 私が綺麗に埋めてやるからぁ!!」
「あ、あの・・・?」
混乱するユウに顔を向け小さく囁く。
「・・・私は貴方達を信じている。 だから私を信じて。私に全てを委ねなさい。」
その声は囁く程度だったはずなのに魔族全員の頭に響いた。
絶対の自信を持ったその言葉に魔族たちが雄叫びをあげる。
絶対的な存在――魔王に向けて。
「「「「「うおおおお!!」」」」」
「・・・フェノ様・・・」
「大丈夫よユウ♪ 私は魔王だよ?」
その何時もの微笑みにユウの顔が笑顔で輝く。
それを見届けた私は何もない空間に声をかけ、彼を呼びだす。
「仕事だよ?」
「っ。 りょーかいっと!」
私にぼろぼろに負けて、無様に扱き使われる羽目になった勇者――フォルトだ。
「・・・すっごく貶された? いや・・・気のせいだよな・・・。」
「え? 心配しなくても本当の事ですよ?」
「おい! わざわざ聞かなかった事にしてやってんのに言うなよ!」
「さっさと扱き使われて無様に負けてきなさい。」
「ぅおい!!」
そんな会話をしてからフォルトが急に真剣な表情で言う。
「・・・ふっきれたって感じだな。」
「ふっ。 貴方に心配されるほどに落ちぶれるなんて・・・・この世の終わりだ・・・。」
「えっ? そこ妙に真剣な表情で言っちゃう? 物凄く失礼だよね? 僕のハートは既にぼろぼろなんだけど?」
「ハートて・・・ぷ。 よく、ふふ・・・そんな恥ずかしい事を、ふふふ・・・真剣な顔でい言えますね?」
「そのちょいちょい笑うの止めてくれよ! ほんとに涙出そうだよ! 色々とトラウマになりそう!」
「よかったですね(笑)」
「(笑)って・・・さり気無く付けるなよぉ!!」
勇者との他愛のない会話を「しょうもない話で時間をかけないで下さい」という理不尽極まりない言葉で終わらせ、勇者に言う。
「んじゃ、言っていた通りお願いね。」
「・・・ああ。 言いたい事はいっぱいあるが、それは後にしてやるよ。」
「ええ。 まぁその時には・・・」
私は途中で言葉を止めて勇者を見る。
「・・・まぁ頑張ってください。 貴方が要みたいなもんだから。」
「ああ。 ・・・んじゃ行ってくる・・・ぜ!!」
勇者が勢いよく戦場に飛び込み暴れだす。
私はそれを見送る事なく目を閉じた。
魔力を集めて、集めて、集めて・・・その時を待つ。
そしてその時が来た事を勇者の声が告げた。
「見つけたぞ! 『歪み』の中心――核をっ!!」
私は漆黒の瞳にその光景を映し出し、この戦いを終わらせる言葉を紡ぐ。
「・・・『埋め尽くせ――』」
膨大な魔力の込められた言葉がその核へと向かい、真っ黒な光を放った。




