9話 ききみみです。
「『歪み』を・・・消す?」
フォルトが愕然とした表情で呟く。
それもそうだ。ついさっき『歪み』の恐ろしさと歪さを念入りに教えた直後なのだから、フォルトが愕然とするのもしょうがないだろう。
「ええと・・・正確にはちょっと違うけど・・・まぁそゆこと。」
「で、でも『歪み』をどうやって・・・?」
「それは・・・」
そう言って人差し指を口元で立てて、ニコリと微笑んでフォルトに囁く様に言う。
「ひ・み・つ♪」
「「・・・へ?」」
ユウとフォルトが揃って間抜けな声を出した。
フォルトはともかく、ユウの顔が赤いのは・・・。・・・まぁいっか・・・。
「この作戦みたいなのは明日決行予定なのでよろしくね♪」
「行き成りすぎだろっ!」
「今からじゃないぶん、ありがたく思って欲しいものなんだけどな~。」
「今からやるつもりだったのか!? そんな重大な事を! てか『作戦みたいな』って・・・不安過ぎる!!」
次々とツッコンで来るフォルト。
ほんとは召喚されたとかで来た異世界の人間なんじゃないのかな、と思うほどのツッコミ具合だ。
「・・・認めよう。」
「何をっ!?」
うむ。いいツッコミだ。
『・・・話が脱線してるぞ。』
気にしたら負けだよ、そういうのは。
「・・・まっ、そゆことだからよろしくね?」
「・・・分かったよ・・・。」
フォルトが何やら暗い顔で弱々しく返事を返す。
んー? 具合が悪いのかなぁ?
『魔王という名の病原菌にやられたみたいだな。』
あは。 黙れ腐りグリムゾン。
『ひどっ!?』
心の中でコントを繰り広げている間に、フォルトは自分の部屋へと帰ったようだ。
それを見届けたユウが話してくる。
「・・・それでフェノ様? どうするおつもりなんですか?」
「んー? さっきも言ったじゃん。 消すんだよ。」
「ですが・・・。」
「これ以上いう事はないよユウ?」
「っ。」
静かで厳しい命令にユウが声を詰まらせる。
これ以上は追求するな、と念を押す。
「・・・分かりました。 では僕はこれで。」
ユウが一度、礼をして出て行くのを横目で見た後、私は静かに目を瞑る。
『・・・寝るのか?』
「うん。 補充しとかないといけないからね。」
『そうだな。 でも、何で『歪み』の事言わなかったんだ?』
「やだなーグリムゾン。 むしろ『歪み』の話を中心に話してたじゃないか。」
フフ、と軽く笑う。 グリムゾンが溜息をついて話を続けた。
『ちげーよ。 何で『歪み』がこの城を狙って迫ってきてるって言わなかったんだって言ってんだ。』
「そんなの・・・心配さしたくないからじゃないか。」
悲しそうに呟く私にグリムゾンが息を詰まらせる。
それ以上会話が続かなくなり、私はそのまま眠りについた。
その会話(はたから見ればフェノが一人で喋っている様に見えるが)を聞いていたのは、
広間の端っこで、静かに気配を殺し、聞き耳を立てていたランフォンだけだった。




