7話 おもいです。
勇者視点~
「はい! タオルおもちしましたゆうしゃ様!」
「あ、ありがとう・・・。」
「はい~。おのみものおもちしました~。」
「う、うん・・・。」
「・・・そうじ・・・しました。」
「お、おお・・・ありがとう・・・。」
今、僕は魔王城の客室に居た。
その周りをうろちょろとしているのは只今メイドの修行中のレーノ、ミニ、ルカだ。
メイドとして張り切っている三人は、主人の敵である勇者であれ精一杯の御もてなしをしている。
僕は気まずく、お礼しか言う事が出来ないのだ。
「・・・お、お前らも魔族なんだよな・・・?」
「? あたりまえじゃないですか。」
結構真剣な雰囲気で重々しく聞いたはずなのに、レーノは切り捨てるように答えて流す。
そのレーノに僕は何ともいえない様な表情になり、仕方なく時間つぶしとして魔王との戦いの後の事を思い出す。
「僕は・・・。」
まだ答えが決まらなく、僕はただ黙り込むしかなかった。
その様子を見ていた魔王が小さく溜息を吐き、まるで僕の心を見透かした様に言った。
「それでいいんですよ。 そんな簡単に答えが出られても困りますので・・・ね。」
魔王に言い負かされた様な複雑な気分になったが、その意見には賛成だった。
だがこの問題は後回しには出来ない。してはいけないものだ。
だからといって勝負も決めずに帰るわけにも行かない。
・・・まぁ仲間全滅してるからもともと帰りづらいんだけどな・・・。
そんな悩みで頭を魘されていると魔王はそれをも見透かしたように提案を示してきた。
「どうせ帰りづらいんだろうだから、魔王城に泊まってく?
『答え』が出るまでくらいは居てもいいけど?」
「喜んで。」
帰りづらいのは分かっているからその提案は嬉しかった。
即答してしまうほどに・・・。
今思えば、魔王はメイド育成の為に引き止めたんじゃないのかな・・・。
「・・・はぁ。」
「・・・ためいき・・・しあわせがにげてく・・・。」
「わ! い、何時の間に・・・。」
小さく漏らした溜息に直ぐ近くから聞こえた声に無駄に驚いた。
声の主はメイド修行中の一人――確かルカとか言う子どもだ。
髪は漆黒の黒だが瞳は水色の子だ。
「・・・なんで、ためいき?」
少し悲しそうな表情でルカが聞く。
「・・・分からないんだよ・・・。僕は、一体どうすればいいのか。」
悩み続けた思いを何故こんな子どもに打ち明けたのかは分からなかった。
だが僕の口は自然と自分の思いを語る。
少ししてルカが不思議そうに見上げて言う。
「・・・じぶんのおもうままに・・・きめればいい。・・・フェノ様はいつもおもうままにうごいてるよ・・・?」
それはただ自分を突き通しているだけなんじゃないのか?
だが・・・『自分の思うままに決める』・・・か。
妙にスッキリとした清々しい気分になり、僕はルカに微笑みかける。最高の笑みを。
「ありがとう///」
「ルカを誘惑する気なら殺るよ。」
「げ! 何時から居たんだよ魔王!? てか、え、誘惑なんてしてないから! ほんとだから!
だからその禍々しい気配を消してっ! ついでにその手に御持ちの剣も!」
・・・助けて下さい。マジで殺られそうです。
その夜、勇者の悲痛の悲鳴が魔王城に轟いたとか・・・。




