17話 「ルナ」です。
「さてゼアロウヤ? 貴方は私をどう思いますか?」
ちょっと的外れっぽい質問だが、いたって真面目だ。
一応国際問題くらいに重要な質問だしね。
「っ! 勿論認めていますぞっ! あの時は何かがおかしかったのですっ!!」
ゼアロウヤの発言はあの時とは違う。やはりあれが関係しているというのはま違いがないようだ。
「・・・あの時の事、覚えているか?」
あの時とは勿論あの時のこと。ゼアロウヤが魔王城にわざわざ来て、私を「認めない」と言った時のことだ。
私は世界に・・・魔大陸の存在全てに受け入れられている存在。
だからバンパイアの人達が言っていた様に私を悪く思うことが出来ないのが普通なのだ。そう、それが普通なのだ。正常なバンパイアならば・・・ね。
「・・・調査してたとかで『歪み』に憑かれたってところ?」
「っ! そ・・・そうです・・・。」
・・・という事らしい。
話を聞くと・・・数年前から『歪み』の発生の影響と思われる事が立て続けに起こっていた。里の周りの魔獣が凶暴化したり、バンパイアの人の性格が変わったり、物が急に壊れたり、と。
それを防ぐため、ゼアロウヤは数人の部下達と共に『歪み』の発生場所と思われる森へと向かったが・・・彼らは『歪み』を甘く見ていたのだ。『歪み』は人の心の隙間に入り込むもの。ちょっとした喧嘩をしたことで生じた隙間に『歪み』は憑いたのだ。
そのおかげで『私を認めない』という、普通ではありえない現象が起こったそうだ。
「・・・私どもはあなた様を否定することはありません。全ては魔王様の為に・・・。」
その言葉は誰もが私に呟く言葉・・・。
・・・なんて面白くないんだろう・・・。
「・・・ここの『歪み』は消した。もう心配する必要はないよ。」
そう冷たく言い放って私は屋敷を出る。
後ろでゼアロウヤのお礼の言葉が聞こえるが私は聞き流す。興味ないから。
そのまま真っ直ぐと里の門へと向かう。門の外には既に馬車があり、その横にはユウ、レーノ、カイル、ランフォン、セイランが黙ってこちらを見ていた。
「フェノ様・・・。」
「・・・仕事は終わり。 さ、さっさと帰ろっか。」
そう言って私は馬車に乗り込む。
ユウは黙って馬車の扉を閉め、動く用意をしだす。
そして、お別れだな と思い目を門に向けると――
「・・・サーナリア・・・レオナ・・・皆・・・?」
里でお世話になったバンパイアの皆が並んで微笑んでいた。
「元気でね! ルナちゃん!」
「また来てね!」
「仕事、じゃなくて、遊びに!」
「待ってるから!」
彼らは私が魔王だと村長から聞いているはずなのに私を『ルナ』と呼んだ。
魔王としてではなく、ルナとして来いと。
「・・・ありがとう。」
私はそう呟いて微笑む。
私の周りには魔王に従う部下しかいなかった。ユウやメリーは勿論のこと。カイルだって私を魔王だと慕う。レーノ、ミニ、ルカ、レクトも友達から従者となってしまっていた。
私には友達がいない。
それが寂しかったのだ。
魔王だから世界に認められる。
そんな私に友達は認められないんじゃないかって寂しかった。里の皆は私を魔王だと知ればきっと私を・・・『ルナ』を見てくれないんじゃないかって私は怖かった。
だから私を『ルナ』として認めてくれたバンパイアの皆に礼を言っていたのだ。
嬉しかったから・・・。
『魔王』ではなく『ルナ』を求めてくれたから。
「・・・またね♪」
そう最後に言って、私達は魔王城へと帰った。
大分話の流れが変わった気がします・・・(汗)
あ、これで3章は終わりになります。
本当はもっと長くなる予定でしたが・・・予定変更です。。。
予定変更多くてすいません。。。(汗)




